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【特集】悲願の世界一へ!デフサッカーW杯に挑む福岡出身の日本代表主将(2023/10/04)

耳に障害のある選手たちがプレーする「デフサッカー」。
そのワールドカップが7年ぶりにマレーシアで行われています。

男子日本代表のキャプテンは、福岡県出身。
世界一を目指す挑戦を追いました。


アルゼンチンやドイツなど19か国が参加しているデフサッカー・ワールドカップ。
補聴器を外してプレーするのがルールのため、「音のないサッカー」とも言われています。

男子日本代表のキャプテンは、福岡県出身の松元卓巳さん34歳。
代表歴17年のベテラン選手です。

♪松元卓巳主将
「勝とうじゃない。勝てたらいいなじゃない。絶対勝つ。
このメンバーで絶対勝つぞ!3・2・1!」

ワールドカップ開幕の2週間前。
松元さんが向かったのは、福岡市内にある大学のグラウンド。
大学サッカー部の選手たちに混じっての練習です。

所属するデフサッカーのチームは、月に1回しか集まれないため
松元さんは、日々の練習場所を自ら確保しています。

♪松元卓巳主将
「Jリーグだったら自分の母体となるチームがあって、
普段はそこで練習して、招集かかったら合宿や大会に行く。
今は練習環境があるが、その前は大学ともつながらなかった。
(デフサッカーの選手は)練習環境を探すのも大変。」

車内で昼食を済ませ、息つく暇もなく職場へ―。

大手保険会社とアスリート契約を結ぶ松元さん。
一日に4時間ほど取引先への資料送付などの仕事もしています。

松元さんの存在で職場にも変化がありました。

♪同僚の女性
「朝礼などで口元が見えないと聞こえづらい人はわかりにくい。
松元さんが教えてくれることによってどうすれば助かるか(わかる)」

松元さんには、生まれつき難聴の「デフアスリート」だからこそ大切にしていることがあります。

♪松元卓巳主将
「補聴器には音を拾うマイクがあるが、前向きについている。
だから、前からの音は拾ってくれるが横や後ろは拾ってくれない。」

難聴への理解を広げる活動です。
講演は多いときで年に20回以上。

積極的な活動が評価され、
2年前、国際的な賞「パラアスリート平和賞」を受賞しました。

長年「日の丸」を背負い、充実した競技生活を送っているように見える松元さん。
それでも―。

♪松元卓巳主将
「日本代表=華やかな世界をイメージしやすいが実際はそうでもなくて、
仕事もしながら練習をして、その中で代表に関わる合宿費や遠征費、大会出場など、お金は自己負担でやってますし。」

今回、マレーシアで開かれるワールドカップ。
参加費用のほとんどは自己負担で、その金額は最低でも1人につき、およそ60万円。

トップレベルのプロ選手たちが選出される「A代表」には、
日当として1万円が支払われ、大会のランクに応じて勝利ボーナスも支給されます。

このような支給はデフサッカーの日本代表にはなく、
「日の丸」を背負うには金銭的に大きな負担も伴うのが現状です。

だからこそ、5年ぶりとなる国際大会では、
結果にこだわりたいと、松元さんは決意していました。

♪松元卓巳主将
「我々の現状だったりを知ってもらうために結果を出して、
結果でメディアとかで発信してもらう機会をつくるのが大事。」

♪松元卓巳主将
「みんないろんな思い、背負っているもの、覚悟。いろいろあると思う。
勝とうじゃない。勝てたらいいなじゃない。絶対勝つ。
このメンバーで勝ちに行くぞ。みんなで行くぞ。3・2・1・オー!」

自分たちの存在を知らしめる戦いが始まりました。

1勝1敗で迎えた予選リーグ最終戦の相手はフランス。
耳に障害があるアスリートの祭典「デフリンピック」で前回準優勝している強豪です。
勝てば、自力での予選突破が決まる大一番。

試合は、序盤から日本が攻め込む展開で、
前半、シュート数でフランスを大きく上回りました。

♪松元卓巳主将
「相手2トップでセンターバックじゃ走りにくい。
サイドバックとボランチ準備しといて」

補聴器を外してプレーする選手たちに、
キャプテンの松元さんは手話や身振りで指示を出します。

試合全体を見渡せるキーパーは“チームの要”。

届かないと分かっていても声をかけあい、
気持ちを前面に出して戦うのが日本のスタイルです。

お互い得点がないまま迎えた後半43分。
この試合、最大のピンチが訪れます。

♪「フランス攻撃」

松元さんのスーパーセーブがチームを窮地から救いました!
しかし、そのわずか30秒後―。

♪「フランス攻撃」

痛い失点を喫し、これが決勝点に―。

強豪相手に堂々と渡り合い、手応えを感じていただけに悔しさがこみ上げます。

♪松元さん
「遠いマレーシアまで応援に来てくださり、ありがとうございます。勝てなくて本当に申し訳ないです。
まだ終わってないので次切り替えてみんなで戦っていきたいと思います。
まだまだ力を貸してください。ありがとうございました。」
「耳が聞こえないというハンデはあるが、仲間がいればいろんなことにチャレンジできるし
自分の目標ややりたいことにチャレンジしてほしいと伝えていきたい。」


デフサッカーの日本代表、予選ではフランスに惜しくも敗れてしまったんですが、
1勝2敗で予選3位になり、決勝トーナメントに進出しました。

そしてこの前の日曜日にフランスにリベンジを果たし、日本初のベスト4進出を決めています!

デフサッカー日本代表のみなさん、応援しています!

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