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リンゴ飴のこえ~難聴って、なんなん?~
2023.04.30

リンゴ飴のこえ~難聴って、なんなん?~

今回の目撃者fは、

聴覚障害は、補聴器などをつけても音声を認識できない【ろう】と、音声を認識できる【難聴】の2つに分けられます。

日本における難聴や補聴器利用の実情を調査した「Japan Trak 2022」によると、日本の難聴者率は10.0%。10人に1人が耳の聞こえにくさを感じているといいます。

外見からは分かりにくい難聴。そのため、「補聴器をつけていれば聞こえる」と誤解され、苦しむ難聴の人たちは少なくありません。

難聴を正しく理解してほしい―。誰にでもやさしいちょっとした工夫で、みんなが暮らしやすい社会になる。新たな可能性を証明するために始まった取り組みに注目しました。

リンゴ飴のこえ~難聴って、なんなん?~


2022年4月、福岡市内にオープンした季節のリンゴ飴専門店「あっぷりてぃ」。スタッフとして働くのは、耳に補聴器をつけた難聴の人たちです。
リンゴ飴のこえ~難聴って、なんなん?~
店内には音声認識ソフトが設置され、メニュー表を指さしてもらいながら注文を受けます。この店は全国でも珍しい「難聴の人が働きやすい店」。

難聴のスタッフが一から店づくりに携わり、どう運営していくのか考えました。

オープニングスタッフの田中奏汰さんは、2歳から補聴器をつけて生活しています。聴覚支援学校の幼稚園に通いましたが、「手話ではなく、みんなと普通に話したい」と思い、地域の小学校に。
リンゴ飴のこえ~難聴って、なんなん?~
しかし、周りの理解を得られず、小学5年で聴覚支援学校に転校します。その後、高校を卒業し一般企業に就職しますが、コロナ禍によるマスク生活で体調を崩し、退職。

2度の挫折を経験した田中さんを、再び外の世界に連れ出してくれたのは、あっぷいてぃの「リンゴ飴」でした。

難聴の子どもがいる家族の会「そらいろ」では、互いの不安や悩みを共有しています。そんな家族会に多く寄せられる悩み。それは、コロナ禍で欠かせなくなったマスクについて。

社会から取り残される難聴の人たちを知ってほしい―。そんな思いから、「そらいろ」の代表・岩尾至和さんは、アニメ「なんちょうなんなん」の制作を企画。

「補聴器をつけていても全部聞こえない」「一度の聞き取りは難しい」「騒音が苦手」歌詞には難聴の人たちの悩みや思いが込められています。
 
「なんちょうなんなん」の制作をきっかけに、岩尾さんは一般社団法人「言葉のかけはし」を設立。

企業に難聴者の働き方や支援方法を提案したり、難聴の若者たちにキャリア講座を開いたり…。

環境さえ整えば、障害関係なく力を発揮できる―。雇用の多様性を生むこの取り組みに、少しずつスポットが当たります。
リンゴ飴のこえ~難聴って、なんなん?~
ことし4月、1周年を迎えた「あっぷりてぃ」の店内には、初となる新卒スタッフの姿がありました。

失敗しても、やり直せばいい―。代表の梶本真佑さんの信念です。

難聴者と健聴者が寄り添い合う優しい社会を目指して、福岡で始まった新たな挑戦を追いました。


目撃者f
2023年4月30日(日)深夜1時25分

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