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禁止命令では守れなかった~博多駅前ストーカー殺人事件~
2023.02.26

禁止命令では守れなかった~博多駅前ストーカー殺人事件~

今回の目撃者fは、

多くの人が行き交うJR博多駅から目と鼻の先で、ひとりの女性が命を絶たれました。

川野美樹さん(当時38)。優しく、周りを明るくする女性だったといいます。

殺人の疑いで逮捕され、その後起訴されたのは、元交際相手の寺内進被告(31)。

川野さんは寺内被告のストーカー行為について何度も警察に相談していました。できるかぎりの対応をしていたとする警察、それでも防げなかった最悪の事態―。

被害者に危害が及ぶまで加害者を止められないストーカー対策の現状を、このまま放置していいのでしょうか。

禁止命令では守れなかった~博多駅前ストーカー殺人事件~

事件が起きたのは今年1月16日。JR博多駅から歩いて2分ほどの路地で、川野さんが頭や胸など10数か所を包丁で刺され、死亡しました。

犯人は逃走しましたが、川野さんが39歳の誕生日を迎えるはずだった2日後に、事態が大きく動きました。

殺人の疑いで逮捕され、その後起訴された寺内被告は、川野さんの元交際相手でした。

事件の3か月前から寺内被告のストーカー行為に悩み、警察に繰り返し相談していた川野さん。

これに対し、寺内被告は川野さんの職場に押しかけ「何で警察に相談した。仕事がなくなるだろう」と詰め寄ったこともあったといいます。

警察はストーカー規制法に基づき、警告だけでなく、違反すると2年以下の懲役か200万円以下の罰金が科される緊急の「禁止命令」を出したことも―。

それでも最終的に歯止めとはならず、被害者が命を奪われるという最悪の事態を防ぐことはできませんでした。

規制法がつくられるきっかけとなった24年前の桶川ストーカー殺人事件で娘を奪われた猪野憲一さん(72)は、警察に「被害者の命を守ることを大切にしてほしい。
禁止命令では守れなかった~博多駅前ストーカー殺人事件~
もっと踏み込んでほしい」と訴え続けています。一方で、警察は「我々は法律の中でしか対応できない。今の法律の下でどうすればいいのか…」と加害者に踏み込めないジレンマを抱えていました。

同じ悲劇を繰り返さないためになるなら…と、ストーカー行為を受けたことがある女性が、私たちの取材に応じました。
禁止命令では守れなかった~博多駅前ストーカー殺人事件~
「常に監視されている」一方的に好意を寄せてきた男性に、5年以上付きまとわれたという女性。自宅や勤務先を変えることで、被害から逃れたといいます。

被害者が負担を強いられる理不尽さを受け入れてでも、消し去りたい恐怖。それでも―「似ている人を見ると、いつも見つめられている目を思い出してしまう」苦しみから解放されることはありません。

事件現場となった路地には、来る日も来る日も花や温かい飲み物が供えられ、手を合わせる人が後を絶ちません。
禁止命令では守れなかった~博多駅前ストーカー殺人事件~
衝撃の大きさに社会は揺れ続けていますが、ストーカー対策はほとんど変わらないまま。全国の警察に寄せられるストーカー被害の相談は年間約2万件。

被害者の保護だけでなく、加害者への対策にもっと踏み込む必要がある―そう指摘する声が上がっています。


目撃者f
2023年2月26日(日)深夜1時25分

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