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先生がいなくなる
2023.01.29

先生がいなくなる

今回の目撃者fは、

誰しもが経験する学校生活。

時には学び、時にはクラスメートとじゃれ合った教室、目標に向かって努力した部活動、わくわくドキドキの修学旅行、不安だった進路の相談・・・

そこにはいつも「先生」がそばにいてくれたのではないだろうか。

今、そんな先生になりたいという人が減っている。

背景にあるのは、先生たちの働き方。このままでは先生がいなくなる―。現状と課題を探ります。

先生がいなくなる

先生がいなくなる
福岡市の新任中学校教員・稗田千紗さん(23)は、午前7時半に出勤し、授業や部活などで忙しく働いている。

約3時間残業し、帰宅は午後7時という日がほとんど。それでも、稗田さんの表情は明るい。

「きついときもあるが、生徒の成長できる環境をつくってあげたいし、成長が見られると、やって良かったと思う。それが原動力」

子どもたちに学ぶことの喜びや大切さを教え導く―。大きなやりがいがある先生の仕事。

その反面、先生の労働時間は桁違いに長いというデータがある。
先生がいなくなる
名古屋大学の調査によると、公立学校教員の1か月の残業は平均で106時間。過労死ラインとされる1か月80時間を大きく超えている。

背景には、“定額働かせ放題”と揶揄される法律がある。いわゆる「給特法」。

月額基本給の4%を上乗せする代わりに、残業代や休日出勤手当を払わないと定めたもので、サービス残業の温床とも指摘されている。過酷な勤務の末に、命を落とした教員もいる。

北九州市で県立高校の教員をしていた安徳誠治さんは、2002年に脳出血で倒れ、その後、
公務災害と認定された。

安徳さんが倒れる1か月前の残業時間は125時間にも上っていたという。病に倒れて15年後、安徳さんは息を引き取った。

「同じような思いをさせてはいけない。働き方を考えてもらいたい」妻の晴美さんは、今もそう訴えている。

教員の働き方改革の必要性が叫ばれる中、一石を投じた裁判がある。
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大阪の府立高校教員・西本武史さんは、長時間労働によって適応障害になったとして大阪府を相手に損害賠償を求める訴えを起こした。

問題の深刻さを広く知ってもらうため、実名で顔を出して裁判を闘い、勝訴した。

今は、子どもが小さく、遅くまで職場に残ることは少ない一方、自宅で持ち帰り残業をすることが多い。

業務量は大きく変わっていないからだ。自分の子どもと生徒、どちらにもしっかり向き合いたい―。

「仕事を減らすか、人を増やせば、改善されるはず・・・」ほかの教員のためにも、西本さんは、そう願っている。

福岡市の新任教員・稗田先生の学校では「ノー部活デー」が導入され、定時で帰れる日も生まれた。

教員の働き方を見直す動きとともに、国では「給特法」の見直しに向けた議論も始まった。

「教育は日本の根本。予算や法改正も含めて国がやるべきことが非常にたくさんある」名古屋大学の内田良教授は、そう指摘する。子どもと先生のための働き方改革の現在地を探ります。


目撃者f
2023年1月29日(日)深夜1時25分

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