2020.3.28 OA
荒木健太 水球
投げるボールのスピードは最大70キロ。
体をぶつけあうその激しさから「水中の格闘技」ともいわれている水球。
すでに開催国枠で東京オリンピック出場を決めているポセイドンジャパンの中で福岡市出身 荒木健太は代表入りを目指している
D「いじられキャラ?」
荒木「いじられです」
友人「めっちゃ応援したくなります」
身長186センチの恵まれた体格を生かし、日本代表で活躍してきた。
しかし…
荒木「初めて水球が嫌いになった。こいつもうダメだなっていうくらいの態度で練習していた」
初めて味わった大きな挫折。
自分自身に足りなかったものとは…
再び目指すオリンピックへの道に迫る。
潮田「初めまして潮田です。よろしくお願いします。
ガタイが金色史上一番ガタイがいい選手だと思いますよ。ちゃかっこいいですね。人間の胸板ってこんなに厚くなるんだって思いました。私が気になったのはこっち側の面(背中も)この肩甲骨とここがすごくないですか?この肩甲骨が動くってめちゃくちゃすごいですよね」
そんな荒木にはある悩みが…
荒木「電車に乗るんですけど、肩幅が広くて、あまり座れない」
潮田「隣の人にぶつかってしまう」
荒木「座ってしまっても前かがみになってしまう」
その身長は日本代表の中でもトップの186センチ
水泳を始めた幼稚園の頃から他の子と比べてもひときわ大きかった。
小学4年の時にコーチから誘われ水球に転向。
一気に水球にはまっていった。
しかし、その体の大きさで思わぬ出来事が…
潮田「どうやって練習をしてた?」
荒木「市民プールとかに学校帰りに通って泳いでたりとか。僕泳ぎが遅くて、汚いし、隣が歩行者の方のコースでこんなでかいのが変な泳ぎをしていたら水しぶきがすごくて。(係員から)今度ちょっとダメですって言われたり」
潮田「もう来ないでくださいって」
荒木「迷惑されているのでって」
その後、強豪・福岡工業高校へ
高校3年生の時にはキャプテンとしてインターハイ優勝。
名門日本体育大学を経て、現在はクラブチームに所属。
1チーム7人で戦う水球、荒木はゴール前で攻撃の要となる「フローター」というポジション。
実際にプレーを間近で見せてもらった。
潮田「うぉー怖い!すごい。来ないとおもっていてもすごく怖かったです。つかんだり、乗っちゃったり いかに(ボールを)取らさないかここまでお互いがつかみ合うってなかなかない」
水中の格闘技ともいわれる水球。
プールの深さは2m以上、足のつかない中でボールをもっている選手には激しい接触プレーも許されている
では水中でどのような動きをしているのか…
体を浮かせる巻き足という動き
荒木「水の浮力を得るために足のウラでかく。イメージこういう感じ」
潮田「すごい疑問なんですけど飛び上がって投げるじゃないですかどうやっているの?」
荒木「途中まで巻足で上がれるところまで上がって、最後水を押すイメージでやっている」
潮田「最後はこうやっているんですか?」
荒木「押してパンっていう感じ」
潮田「押せるもの?」
荒木「イメージは押すイメージ」
今は、東京オリンピック日本代表候補として1年のうち、半分以上を海外遠征や代表合宿で過ごす。
一人暮らしの自宅をみせてもらうと…
荒木「本当に何にもないですけど」
D「本当に何にもないですね」
荒木「このソファーが。このクッションの上でこうやっています。ずっと」
D「それがリラックス?」
荒木「はい。最近ばあちゃんからがめ煮を送ってもらった。がめ煮は最高ですね」
D「福岡ならではですね。けっこう量が多い」
荒木「1日で(ご飯)5合炊きがなくなってしまうので」
年末年始には必ず福岡に帰省するという荒木。
今年は「勝ち運の神」として知られる筥崎宮で初詣。
そして地元で必ず、会うのが高校時代の部活の仲間たち。
同級生1「お前が主役だと思うなよ、おれらだよ」
同級生2「おれらを引き立ててくれるためにお前がいる」
荒木「なるほどね、最近何かされているんですか?」
同級生2「黙れ!」
D「いじられキャラ的な感じ?」
荒木「いじられです」
先輩マネ1「いじられキャラではないとは思いますけど」
同級生1「いじられてしかない」
先輩マネ2「自分で望んでますね」
荒木「おれが求めていた」
なんでも話せる仲間たちの存在は荒木にとってとても大きなもの。
荒木「同じ部活でやっていた仲間とかと会ったりすると本当に力をもらえる場所。福岡の人らしい応援の仕方で応援してくれる」
潮田「どんな応援?」
荒木「単純に頑張れよとかではなくてちょっとふざけていじりながら。なんかちょっときつめな感じ」
地元福岡のちょっときつめな応援を胸に日本代表でも活躍を続けてきた荒木、しかし…
荒木「初めて水球が嫌いになったというのがありました」
大好きだった水球が嫌いに… いったい何が…
福岡市出身 水球 荒木健太。
身長186cmの恵まれた体格を武器にその才能を開花させて日本代表でも活躍してきた。
そんな中、4年前のリオで日本代表は快挙を成し遂げる。
男子水球は32年ぶりにオリンピック出場。
しかし、そこに荒木の姿はなかった
日本でもトップレベルのフィジカルを誇る荒木だがその一方で泳ぎのスピードが足りず、直前で代表落ちしたのだ
荒木「本当に悔しかったというのもあったし、初めて水球が嫌いになったというのがありました。本当に練習中とかも人に分かるくらいこいつダメだなって思われるくらいの態度で練習していた」
目指していた夢の舞台、オリンピックを逃し、自分自身からも逃げてしまった荒木。
そんな時、支えてくれたのが、恩師・中嶋崇光(なかしまたかみつ)監督。
高校から大学までずっと指導してきた恩師は当時のことについて…
中嶋「悔しい思いはしているなとは思います。当然顔にも態度にもでていたんでしょうけど、それをずっと引きずって意味のない時間を過ごすのであれば早く切り替えて違う目標、そしてそこから代表に戻っていく。高校から大学に送り出すときには必ず日本代表になって五輪を目指す選手になれって送り出している」
荒木「中嶋先生に呼ばれてそれは違うんじゃないかっていうことで。考え方を変えなければいけないって気づかせてくれて多分他の人の言葉だと分かるはずないやろって思う」
潮田「この気持ちはおれにしかわからないだろって思ってしまいそうですよね」
荒木「でも中嶋先生の言葉だと今のそうですけど、スッ!って落ちてくる。今でも成長させてくれている」
ずっと見守ってくれた恩師の言葉で再び夢の舞台を目指すことを決意。
そこで取り組んだのはずっと苦手としていた「泳ぎ」の強化。
中嶋監督のもとで多い時には1日8キロを泳ぎこんでいった。
そして、去年10月の日本選手権決勝。
東京オリンピック日本代表へアピールする重要な大会。
巧みなシュートでゴールを奪う。
強化してきた「泳ぎ」では味方ボールになるとそのスピードで一気に攻めあがる。
そして…
パスを受けてそのままシュート。
課題だった泳ぎの強化がしっかりと身をむずび代表入りへ大きな成長をみせた。
潮田「東京五輪を目前にあと半年くらいどうですか?」
荒木「自分がやれる部分っていうのも徐々に力をつけてきているなって思っているので強豪国に競るんではなくて勝ち切るっていうのを目標に。これがラストチャンスだと思っているので死に物狂いで頑張っていこうと思う」