番組向上への取り組み

番組審議会だより
第620回(2025年9月17日)

審議対象番組
「目撃者f 地獄は見ていなくても~ある被爆者の信念~」(報道部)
放送日時
2025年8月31日(日) 25:25~25:55 放送

議事の概要

「目撃者f 地獄は見ていなくても~ある被爆者の信念~」

番組内容

「あの日のことを知ってください――」多くの被爆者の“あの日”の記憶を集め、被爆の実相を詩として伝え続ける女性が福岡市にいます。世代や国境を越えて被爆の記憶を語り継ぐことはきっとできるはず。全ては、再び被爆者を生まないために。きょうの聞き手があすの語り手になるように。戦後80年の夏、その信念の日々を記録しました。

委員のご意見

  • 語り部から発される言葉の一つ一つが、聞く者を事柄の実相に近づけてくれる、地獄さながらの光景が身に迫り来るような体験を久しぶりにした。被爆の内実を伝えるばかりでなく、言葉の力そのものが伝わる番組だった。
  • 異なる年の語るシーンが放送されたことで、吉崎さんの活動が長年にわたって行われていることが明らかであった。また同時に、福岡放送が長年関心を持ってその取材をしていることが分かり感心した。
  • 冒頭の語りのシーンは、いつ、どこであったのか、表示があると分かりやすかったのではないか。
  • イベントに向けてチラシや手紙で来場を呼びかけたにもかかわらず、当日は客足が伸びず、会場ががらがらだった現実はもっと強調してもよかったのではないかと思った。また、吉崎さんの活動についての第三者の評価がほとんどなかったのが残念だった。
  • 「詩」と聞き、紙に書かれた詩などをイメージしてしまい、語り部としての語り口自体が詩であることに番組の途中まで気がつかなかった。ナレーションなどで早い段階で説明があるとなおよかった。
  • 「地獄は見ていなくても」という題名が引っかかった。直接的ではない体験も語っていたが、人から聞いた話を伝えているという説明が少し足りなかったのではと感じた。今までとは違う、実体験をされた方とは異なる捉え方をしていて、こういう番組は必要だと思った。
  • 戦後80年の節目にふさわしいドキュメンタリー作品だと感じた。番組タイトル「地獄は見ていなくても」について、他の被爆者の声を集めて詩で伝える活動が、戦争の悲惨さやその記憶の継承に大きな役割を果たしていることをよく表現できていると思った。
  • 被爆者の高齢化が進み、語り部の存在が貴重になっている今、自らの体験だけでなく、他者の記憶をも未来へと語り継ぐ姿を紹介することは、放送局自体が記憶の継承者としての役割を果たしているようで評価できる。
  • 韓国の被害者の話は印象深く、考えさせられた。海外でも被爆経験者の方が偏見などで苦しんでいることを知ることができた。
  • 戦争に対する関心が低くなっていることはもう少し強調してもよかったのではないか。また、歴史的な背景も子どもたちに伝えていくべきではないかと感じた。
  • 冒頭の語りの部分は、字幕がないことで、言葉や表情を通して生の雰囲気を伝えたいというスタッフの思いを感じた。
  • 戦争への関心について、長年の活動を通して変化を感じられる話があれば知りたい。また、福岡県内、市内で語り部として活動している方がどのくらいいるか教えてほしい。