番組向上への取り組み
番組審議会だより
第610回(2024年9月18日)
- 審議対象番組
- 「NNNドキュメント’24 学生たちの戦争 学徒出陣 ペンを銃にかえられて」(報道部)
- 放送日時
- 2024年8月18日(日)24:55~25:25 放送
議事の概要
「NNNドキュメント’24 学生たちの戦争 学徒出陣 ペンを銃にかえられて」
番組内容
太平洋戦争で戦況が悪化し、当初は徴兵を猶予されていた大学生たちが戦場へ送り出された「学徒出陣」。高等教育機関への進学率が3%の時代、学問を志しながらも国の命令で戦禍に巻き込まれた元学徒兵の証言、記録、記憶をたどりました。また彼らの苦悩、葛藤、揺れ動く感情は今の学生たちにどう響くのか、現役大学生にも問いました。6月に放送したローカル番組「目撃者f」を再編集、全国放送した作品です。
委員のご意見
- 戦争の悲惨さを伝えることにとどまらず、今の若い世代に過去の戦争を通じて学ぶことの意義を考えてもらうというテーマ設定自体がよく考えられていた。
- 戦争当時の貴重な映像や資料、当事者や関係者のコメントなどを集め、客観的な視点から番組を構成することは、信頼性を高める上でも非常に重要。今後の番組でも継続してほしい。
- 学徒兵の日記は、学問に対する思いと国に対する思いとの間で揺れ動く感情が生々しく表現されている部分がピックアップされていて、視聴者にもよく伝わったと思う。
- 壮行会で答辞を読んだ方が、若い人や自分の仲間を戦争に向けて鼓舞したことに対する思い、自身が生き延びた安堵と亡くなった人への思いなどを戦後もずっと抱え続けている苦悩や葛藤が次々と語られ、とても重たく感じられる内容だった。
- 九州帝国大学が必ずしも縦串になって構成されたというわけではなくて、統一感のない構成と感じた。福岡にあるテレビ局の番組としての地元感も中途半端ではなかったか。何となく聞いたことがあるような話もあり、新たな発見とか大きな驚きはほとんどなかった。
- 時間の経過とともに元学徒兵も高齢化して少なくなり、本人から直接話を聞くことができたお子様も高齢化しつつある中、貴重な証言や資料を映像で残し、しっかり伝えていくことはメディアの大切な役割であろう。
- かつて8月はたくさんの戦争を考える特集番組が組まれていた。番組で紹介されたいずれの証言も極めて重く響いてきたし、今この瞬間にも世界各地では戦われているという事実、さらには戦争の脅威にさらされている情勢が至るところにあることに鑑みれば、戦争の悲惨さを伝える努力はどれだけ払っても払い過ぎることはないと実感させられる番組だった。平和を考えるために戦争の事実に向き合った報道番組づくりを切にお願いする。