番組向上への取り組み
番組審議会だより
第608回(2024年6月19日)
- 審議対象番組
- 「NNNドキュメント'24 いじめ、その時大人は」(報道部)
- 放送日時
- 2024年5月19日(日)24:55~25:25 放送
議事の概要
「NNNドキュメント'24 いじめ、その時大人は」
番組内容
いじめ防止対策推進法の施行から10年過ぎましたが、いじめを苦に子どもが自ら死を選ぶ痛ましい事案は後を絶ちません。子どもたちが発する“SOS”に、学校は、行政は、そして親は気づくことができているでしょうか。高校生の自死案件をめぐる学校、教育委員会の対応と親の痛恨の思い、いじめ解決にスピード感を持って動こうと大阪・寝屋川市が教育委員会とは別に設置した「監察課」、18年前にいじめで長男を亡くした母親が継続する活動などを多角的に取材、大人が子どもの命を守るためどう行動すべきなのか考えます。
委員のご意見
- 古くて新しい、いわば解決の糸口が見えない問題を真っ向から取り扱う意欲的な番組だった。ナレーションは「今年」「何年前」という時系列上の表現が目立ったが、テロップで年を補完する工夫などがあれば、歴史資料的にも有益ではないか。
- 大阪府寝屋川市の監察課の実例は、行政がとてもスピード感のある対応をしており、大変驚いた。監察課を立ち上げた経緯を知りたいと思ったし、同じような動きがほかの自治体で広がっていこうとしているのか興味を持った。
- 18年前に子どもを自死で亡くした母親が継続的にいじめ防止の活動をされていて、その話を子どもたちがとても真剣な表情で聞いている姿に救われる思いがした。
- 終盤、画面の隅にテロップ表示された「こころの健康相談統一ダイヤル」などの情報が、録画を一時停止すると、ちょうど隠れてしまった。録画視聴も一般的だと思うので、重要なテロップの表示箇所は様々な機種で確認してはいかがだろうか。また画面そのものを集中して視聴しており、もう少し分かりやすく表示できたらよかったのではないか。
- 学校側のコメントが非常にショックだった。もう少し学校側の受け止めがあってもいいのではないかと感じられる描き方で、学校側に対する不信が湧く感想を持った。
- いじめの被害者の親が、いじめた生徒や先生のことだけでなくて自分のことも責め続けていることが描かれ、タイトルの「大人」には被害者の親も含まれていると気づいた。
- 寝屋川市の監察課はぜひ続けて取材して、何年か後にまとまった内容を報告していただきたい。第三者委員会で調査が続いているいじめ案件も継続して取材をしていただきたい。
- 取材するのは難しいだろうし、捉え方も難しいだろうと思うが、なぜいじめに至ったのか、もしできるようだったら加害者側も取材していただきたい。
- 今回の番組は、なぜいじめが起きるのか、いじめをなくすにはという単純な視点ではなく、いじめが起きているときに大人がどう動くべきなのかという、少し角度が違うテーマ設定で、視聴者に新たな気づきを与えてくれる非常によい番組だ。また、番組全体から、社会問題を解決して社会を少しでもよくしていこうという制作者側の意思も感じられた。今後とも高い志を持って番組制作に当たっていただきたい。