番組向上への取り組み

番組審議会だより
第599回(2023年7月19日)

審議対象番組
「NNNドキュメント’23 りんご飴に願いを ~難聴って、なんなん?~」(報道部)
放送日時
2023年7月9日(日)24:55~25:25放送

議事の概要

番組内容

福岡市にある季節のりんご飴専門店「あっぷりてぃ」。店内には音声認識ソフトが設置され、注文は指さし。この店で働くのは、補聴器をつけた“難聴”の人たちです。皆で一から店の仕組みや運営を考え、2022年4月にオープンしました。見た目で分かりにくい『難聴』。苦しみを背負った人たちの新たな可能性を、りんご飴に託して―。多様性を認め合う社会を目指して福岡で始まった挑戦、そして広がる難聴への理解の輪。その取り組みを追いました。

委員のご意見

  • 補聴器をつけていても後ろからの音が聞こえにくいとのインタビュー、駅のアナウンスがほぼ聞こえていないことを再現した演出、そもそも関心がなかったという問題もあり、私たちの難聴への理解がいかに不足しているか気づかされた。
  • コミュニケーションの壁で離職し引きこもりになるなど、難聴の人が抱える苦労や苦悩を描きつつもそれを前面に押し出さず、現状を改善しようと未来へ動き出した人々を紹介。難聴をめぐる社会的課題にクローズアップした、質高く、上品なドキュメンタリーだった。
  • 出演者が語った「新しい普通」という言葉は印象的だった。健常者にも不得手なこと、不自由なことはある。そういうものを含めて障害を理解していく大事さを訴えていた。
  • 正式オープン前の「残っている数は合っているんだけど渡し忘れがある」というくだりは分かりにくかった。「あっぷりてぃ」の実店舗がオープンする前、試験的に予約販売をしていたとの説明を省くべきではなかった。
  • 2人の出演者の年齢や背格好がよく似ていて区別が難しく、錯綜してしまった。
  • 放課後デイサービス「スケッチブック」や難聴アプリの「ヒアロス ロンドン大学」などテロップで出ていた情報の説明が不足していた。
  • 番組で繰り返された「失敗しても大丈夫」というキーワードには、日本人が忘れかけていること、失いかけていることが集約されているように思う。反省すべき無関心の問題もある。難聴者への支援に関わる方々は身近な方々がやはり圧倒的に多く、関心をもって関与するにはまず知ること、自らを啓蒙することが必要だと考えを巡らせた。
  • 視聴者が増えることで、難聴への理解が広がる。多くの人がテレビを見る時間帯、少なくとも子どもが見ることのできる時間帯に放送してほしい。難しいのであれば、番宣で放送の日時や内容を知らせれば、見ようと思う人も増えると思う。