番組向上への取り組み
番組審議会だより
第596回(2023年4月19日)
- 審議対象番組
- 「NNNドキュメント’23 先生がいなくなる」(報道局 報道部)
- 放送日時
- 2023年3月19日(日)24:55~25:25放送
議事の概要
番組内容
「どうしよう。やめたい」「やることありすぎて、もう限界」
SNSに学校の先生たちの悲鳴があふれています。やりがいを上回るブラックな労働環境。長時間労働の末に、命を落とした人さえも…。背景には、時代遅れの法律でいくら長時間働いてもわずかな手当しか支払われない「定額働かせ放題」ともいえる現実があります。教員採用試験の倍率は低迷が続いており、先生を志す人は年々減っています。「教育は国の根本。日本全体の危機」と警鐘を鳴らす専門家もいます。先生たちの働き方改革は、待ったなし…未来を担う子どもたちを育む、学校・先生たちの働き方改革の課題と現在地を探ります。
委員のご意見
- 先生たちが授業だけでなく部活や委員会などの業務で長時間労働になり、心の余裕がなくなり先生のなり手が減っているという、知っているようであまり知られていない学校現場の問題を浮き彫りにしていた。
- 50年近く前に制定された「給特法」(給与月額の100分の4を支給するかわり、時間外勤務・休日勤務手当は支給されない)を初めて知った。こんな法律がいまだに存在していて、先生たちの長時間労働に歯止めがかからない現実に衝撃を受けた。
- 「先生がいなくなる」との題名自体ショッキングだった。亡くなられた先生、適応障害になり裁判をした先生、「現状は定額働かせ放題」との学識経験者の的確なコメントを交え、衝撃的な先生方の実態について問題提起する、よく構成された番組と感じた。
- ドキュメントの本質である客観性を目指すという意味で、質の高いドキュメントだった。淡々と事実を連ねていき、本題である給特法が来した問題点を浮かび上がらせ、その行方に視聴者の関心を向けることに成功している。内容は非常に悲しい部分もあったが、落ち着いて見ることができた。
- 教員採用試験の倍率のグラフで危機的な状態は伝わったが、教員免許を取得したばかりの新卒の人たちが母集団と受け止められるのではないか。教員採用試験に合格せず毎年受験する人も多く、新卒受験者数の変動にも触れれば、より問題の深刻さが伝わったのではないか。
- 番組序盤と最後に、若い先生が希望を持って指導にあたっている姿に救われた。また文部科学大臣の給特法見直しについてのコメント、「ノー部活デー」などの取り組みが紹介され、先生という職業に希望を持たせてくれるような終わり方でよかった。
- 30分の番組ではなかなか難しい、とても深い、影響の大きいテーマ。文部科学省が改善に向けて検討を始めた話もあったが、法律が改善されない限り労働環境は変わらないと思う。今後も取材を続けて、第2弾制作も含めて積極的に発信してほしい。
- 「学校現場が大きな問題を抱えている」で終わってしまうと、ますます先生のなり手が少なくなるのではと心配する。学校現場が具体的にどう変わらないといけないか、もっと踏み込んでもらいたい。番組で出た「ノー部活デー」をはじめ、事務作業のデジタル化など、どんどん取り上げて、学校現場が変わっていく姿を視聴者にも知らせてほしい。
- 継続した取材とともに、いろいろな角度から教育問題を取り上げてほしい。先生のなり手が少しでも増えるような番組を作ってもらいたい。