番組向上への取り組み

番組審議会だより
第588回(2022年6月15日)

審議対象番組
「ナンデモ特命係 発見らくちゃく!あなたの想い、会社にしますSP」(制作スポーツ局)
放送日時
2022年5月14・21日(土) 10:30~11:25放送(各55分/前・後編)

議事の概要

番組内容

2021年に10周年を迎えた県民参加型の視聴者応援バラエティ「ナンデモ特命係 発見らくちゃく!」。その節目を記念して、地元を想って起業を志望する人と、それを資金援助で後押しする投資家とのマッチングを呼びかけました。応募総数は300組を超え、番組では書類選考通過22組から、さらに最終選考に臨んだ5組を追いました。学生・主婦・自営業者・元アスリート・元アイドルと、年齢もバックグラウンドもさまざまですが、共通するのは地元への熱い想い。練りに練った事業計画で投資家の心をつかみ、福岡の課題を解決できる、将来の起業家が誕生するのか?2週連続の放送です。
*【出演】斉藤優 /起業志望の方々・投資家の方々 *【ナレーター】松井礼明アナウンサー

委員のご意見

  • 起業のアイデア自体は既に聞いたことのあるような取り組みが多かった。内容も、意気込みは感じるが、ちょっと初歩的なところもあった。ソーシャルビジネスというよりも想いが先行しているような印象を受けた。
  • 社会課題に対してだけならいいアイデアがあっても、それをビジネスにしていくのはとても難しいことで、そこに苦心されているのが伝わってきたし、社会課題をどうにかしたい、自分の力で何かできないかというのを番組として出されたのはとてもよかったと思う。
  • 選考の基準がわからなかった。投資ということで、かなり厳しく見られているのはわかったが、最初の選考では手が挙がったのに、最終選考ではなかなか手が挙がらなかったのはどうしてか、その辺が理解しにくかった。
  • 挑戦者の投資希望額の算定根拠を少し説明してもらうと、何にいくら使おうとしているのかにすごく興味が湧いたし、もっとわかりやすくなったのではないか。
  • 一部の応募者についてアドバイザーが少し出てきたシーンがあったが、それはフェアなのかという点が気になった。同じように他の応募者にもアドバイザーがついていて映像としてカットされていただけなのか。応募者の観点から見ると気になるのではないかと思った。
  • ビジネスとして提案が成立するかどうかという緊張感のある部分と、5組の応募者がこのプロセスを通じて成長していく、大げさに言うと人間成長のドラマみたいなものがかいま見えて、温かみや可能性を感じさせるとてもよい番組だった。
  • 投資家の方々が、提案がきちんとマネタイズされているか、将来的にビジネスとして継続できるか、投資家として厳しいことを容赦なく言われていた。これが番組だからということで緩くなると面白みがない。また、人間味のある温かい言葉もあった。その両方があったことでこの番組が、緊張感があり、人間的成長につながるような話になったのではないか。
  • それぞれの方の結果発表の後のコメントが印象に残った。「悔しいので頼らずに自分で頑張る」とか、「今回を機にもっと成長していきたい」、「ここで終わったら何の意味もない、あのとき出資しておけばよかったと言わせたい」という話もあった。「失敗は企業としての財産だ」と常に言っているが、まさしく今回のプロジェクトを経験された方々が実感されて、次に向かうエンジンにされている。そういう意味で、この企画自体がすごく成熟していた。
  • 22組から5組に絞られるところも欲しいと思ったが、残った5組が5か月でどう汗をかいたり、行き詰まったり、それを乗り越えたりしていったのかというプロセスがフォーカスされた番組だったと考えると、このプロジェクトで5組の方々が得られたものをしっかりと伝えるためには、それがよかったのかなと思った。
  • 斉藤優さんが最後に「これは〇×を決めることではなくて、どんなに厳しくても行動すれば立派な社会貢献です」ということを言われたが、「成功に終わらなくても失敗が糧になる」という言葉を凝縮しているようで、番組全体をまとめ上げた内容になっていた。
  • 社会に貢献できる事業アイデアを持つ起業家を育てたい、その事業が根づけばいい、スタートアップを支援したいというテーマ自体は非常に共感できる。起業を考えている方には、「自分もこうありたい」という希望を持てる番組だったのではないか。
  • 悩みながら途中で方針を変え、結果、選ばれなかった方をぜひ番組で追って、どう成長していくのかを見られるといい。
  • 最終選考に残った5組の応募者は、いずれもいろいろな事情から「社会をもっとよくしたい」と、目的を達成するために応募したことが最初から最後までぶれずにしっかり伝わってきて、ドキュメンタリー的な要素の強い、質の高いバラエティ番組だった。
  • 番組に応募してきた人の多くは、経営者としては素人そのものだが、それに対して番組が選んだ投資家は、「投資に値するスタートアップ企業を探して、将来、資金を確実に回収するんだ」という、極めてプロフェッショナルな視点で選考していた。そのミスマッチがよかったという意見も多いとは思うが、違和感を覚えた視聴者も多かったのではないか。
  • 実際の審査の順番は、番組のとおりの順番だったのか、実際は違ったのか、教えてほしい。もし違っていたのだとすれば、バラエティ番組であれば問題ないのか。それが演出の範囲で許されるものだとしても、「実際の審査の順番と番組の放送の順番は異なります」みたいなテロップを流してもよかったのではないか。
  • もし投資家の人たちが、元アイドルにも挙手しなくて、実際にゼロだった場合、放送はどうする予定だったのか教えてほしい。
  • 斉藤優さんが大学生の自宅を訪問しインタビューしている様子が紹介されていたが、ベッドの上にあぐらをかいて座っていて、あまりよい印象を持つことができなかった。新型コロナウイルスの感染防止対策としても、プライベートな空間に取材者が訪問することは控えたほうがよいのではないか。
  • 応募者が現代社会に対してどんな問題意識を持っていて、それをビジネスとしてどう表現しようとしているのか、視聴者に対してもその問題意識を共有し、考えることを促すという意味で、とても啓発的な内容だったと思うし、審査側からの質問や指摘はいずれも鋭いものばかりで、見ているだけで勉強になった。
  • 起業を志す一般人を投資家が審査するという構図そのものは、一昔前に一世を風靡した番組「マネーの虎」をなぞったもののようにも見えた。
  • 応募者のうち3組が女性だったのに対し、審査側が全て男性だったのはバランスに欠けていたように思う。もし子育て世代の女性投資家が加わっていたら、プレゼンに対する反応も少し違っていたかもしれない。
  • 番組で紹介されていたアドバイザーだけではなく、ほかのアドバイザーのコメントも聞いてみたかった。