番組向上への取り組み

番組審議会だより
第583回(2022年1月19日)

審議方法
福岡県では新型コロナウイルス感染拡大傾向にあるため、書面による審議とした。
各委員からの書面は1月18日までに事務局に提出され、番組制作者が回答。
事務局が質疑の形式にまとめた。
審議対象番組
「池上彰の九州2021 ウィズコロナの社会へ」(報道部)
放送日時
2021年12月25日(土) 9:30~11:25放送(115分)
≪九州ブロックネット≫
*NIB・KKT・KYT・・・10:30~11:25(2部:55分/同時ネット)
*TOS・・・10:55~11:50 (2部:55分/自社収録・同日放送)
*UMK・・・12:30~13:25 (2部:55分/自社収録・同日放送)

議事の概要

番組内容

年末恒例、九州の1年を振り返る報道番組です。「九州2018」からジャーナリスト・池上彰さんを起用、「2019」からは最新の情報や中継も交えて生放送でお届けしています。今回の「2021」では前年に引き続き、私たちの生活を大きく揺さぶった「新型コロナウイルス」を中心に、九州のネットワーク各局を結びながら、身近で起きた災害や事件を振り返ります。池上さんのわかりやすい解説でニュースの本質を共に考え、2022年にむけた九州の展望を探ります。
≪スタジオ出演≫池上彰 若林麻衣子アナウンサー (ゲスト)井桁弘恵 こがけん
森内浩幸教授(長崎大学) 各地中継レポーターほか。

委員のご意見

  • 「観光、どう変わる」では奄美大島を取り上げていたが、「コロナ禍における観光の現状をわかってもらうのに、奄美大島で良かったのか」という疑問は残った。コロナが九州の観光に与えた影響という観点からは、別の話題やテーマがあるのではないか。
  • 2020年の同番組は知事や社長が出演してトップインタビューがあったが、今回はなかった。経済団体のトップが入れ替わった年だったので、新会長や新会頭のインタビューがあっても良かった。
  • 今回のテーマが「未来を生きるヒント」。まさに皆コロナに翻弄され、これからどうなるのか、どう生きればいいのか模索している時期にぴったりのテーマだった。
  • 宮崎マンゴー農家の女性はモデルから農業への転身で興味深かったが、作りに大変不快感を持った。ビニールハウス内を歩かせ、結んでいた髪をほどいてポーズをさせる演出は男性目線で、マスコミのジェンダー視点の問題が出ていた。
  • 年配の池上彰さんが立ったまま、若いゲスト2名が座ったまま、という設定に少し違和感があった。
  • 「ザ・カイセツ」に、池上さんの冴えを感じ有ることはできなかった。「池上彰の厳選ニュース」の話題では、何故このニュースが池上さんに厳選されるのかよくわからなかった。
  • 「池上彰の厳選ニュース」では、九州で起きた事件や事故、ブラック校則の見直しや、1956年に開園された香椎花園が12月30日で閉園することが紹介された。新聞のように見出しのニュースがまとめられ、次のニュースが予測できるのはとても分かりやすくてよかった。
  • ニュースのジャンルが多岐にわたっているので、時系列にするか、ジャンルごとに整理して紹介してもよかったのではないか。
  • 「未来の展望」、あるいは池上さん自身が番組冒頭で仰っていた言葉を借りれば、「ウィズコロナの未来を生きるヒント」が得られたか、少なくとも、そうしたものがわずかでも示されていたかと言えば、はなはだ疑問だ。
  • 2020年の同番組とほとんど同じ、「来年こそコロナが終息していれば」という願いが繰り返されただけで、2時間の番組を通してわかったことは、「一年経っても結局何にも変わっていない」ということだった。これまでの感染対策の是非をめぐって、メディアが率先して徹底的に検証しない限り、ウィズコロナの未来などと謳っても意味がない。
  • ゲストの二人は、笑いを取るところもあったが、いたってまじめにコメントしており、好感が持てた。井桁弘恵さんは若い世代の感覚を素直に言葉にしていた。こがけんさんは、久留米の実家が飲食業でコロナの影響を受けていたことで、当事者の一人としての思いが発言に込められていた。
  • 取り上げる内容を厳選して1時間程度の番組にした方が見やすい。もし、今後も2時間枠で続けるのであれば、あくまで素人の発想だが、例えば、前半は社会経済ニュース、後半はスポーツ・エンタメ、というように、前後半で番組に変化をつけるような試みをしてみても良いのではないか。
  • 池上さんによる「ザ・カイセツ」は、本番組の特色である重要な要素だが、「コロナによる居酒屋の減少と業態変更」「校則見直しから政治参加へ」など5つの解説はどれも視点の広がりと深さがあり、「困難な事象も含めこの1年の変化や事象が、社会が前進するための一歩に繋がっている」ということが分かりやすく解説され、示唆に富んだものであり、昨年以上に池上さんの存在が生きた番組になっていた。
  • 構成では、CM前にCM後のテーマの導入があったにも関わらず、CM後には別の単発のニューストッピクが挟まれるなど、どのような流れで番組が構成されているか分からず、理解と気持ちがついていけず混乱した。
  • 昨年も本番組を審議したが、構成・内容とも昨年から更に洗練され、最後の池上さんの「コロナとの共生は続くが、これまでの経験を活かし、知恵を絞って、より良い1年にしましょう」という言葉を通じ、番組全体の視聴者へのメッセージが伝わってくる大変よい番組であった。