番組向上への取り組み

番組審議会だより
第577回(2021年5月18日)

審議方法
5月12日、福岡県の緊急事態宣言発出に伴い、書面による審議とした。
各委員からの書面は5月18日までに事務局に提出され、番組制作者が回答。
事務局が質疑の形式にまとめた。
審議対象番組
「目撃者f 流れ星に願いを ~九州をつなぐ希望の新幹線~」(報道部)
審議対象日時
4月25日(日)25:25~25:55放送(FBS・NIB・KYT)
5月2日(日)26:30~27:00放送(KKT)

議事の概要

番組内容

2011年3月12日に博多~鹿児島中央間を全線開業した九州新幹線。この10年間、九州には地震や豪雨など予期せぬ災いがもたらされ、記念すべき10周年はコロナ禍の真っただ中で迎えることになった。それでも、JR九州は「九州に希望の光を届けたい」との決意で「流れ星新幹線」の特別運行を決定。全国から寄せられた8,350件もの願いごとが託された新幹線は、「流れ星」さながらに美しい輝きを放ち、沿線の人々の心を明るく照らしながら九州を駆け抜ける。プロジェクトを手掛ける人・これから一歩、前に踏み出す人、「流れ星」を巡る人々のドラマを織り交ぜたドキュメント。

【出演者】
【ナレーション】中谷 萌(FBSアナウンサー)

委員のご意見

  • この番組の見どころは、きれいというだけにとどまらず、「流れ星新幹線」にいろんな思いをもつ人が出てくることだ。登場人物と「流れ星新幹線」のかかわりを描くことで、感動的な仕上がりになっていた。
  • 何がきっかけで「流れ星新幹線」の企画はスタートしたのか、なぜJR九州・LINE Fukuoka、西日本シティ銀行3社の共同企画なのか、光を放つ技術は難しいのか、規制などはなかったのか、予算はどのくらいか、今後「流れ星新幹線」が再登場する可能性はあるのか等々、もっと多くのことを知りたくなった。
  • コンピュターの時代とは言え、光の演出プログラムは大変だったろう。光の力はすごいな、と思った。人間は昔から流れ星に願いをかけてきたが、新幹線のこの光の演出も、見た人の心に響いたのではないか。
  • これまでの被災地支援番組とは違った捉え方、すなわち「希望」や「前を向いて行こう」と感じさせてくれる、いい番組であった。
  • コロナ禍によって、JR九州はかつてない厳しい状況に直面しているが、それでも全国から願いごとを募集し、新幹線の車体に流れ星と願いごとを描いて走らせ、沿線でイベントを実施して、たくさんの人々に夢や希望を感じてもらうという企画を実現して人々の共感を得ることができた。この番組は、その貴重な記録映像になった。
  • 落ち着いた優しいナレーションも好きだ。「今こそ、前へ」という締めくくりも印象的で、視聴者が一緒に前を向ける番組に仕上がっていた。「見てよかった」と思える番組だった。
  • 人々が今、何を願っているのかを改めて考えさせられる内容だった。ライトアップされた流れ星のような新幹線にその願いを乗せて、きらびやかな新幹線が通過するのを見つめている人々の姿に感動した。1年以上続くこの制約の中での生活から、少しだけ解放されたような気持ちになった。
  • 今回の番組では、「物語」の作り手がどんな方だったのかを教えてもらった。それはもちろん、「流れ星」の企画に携わっていた仲さんであり、また青柳社長であるが、しかしそれだけでなく、実際に沿線各地で暮らしている人々でもある。たぶん全国でもここ九州の新幹線だけが持っている、独特の「物語性」は、これらすべての人々がその作り手となって可能になっているのかもしれない。
  • 優れていたのは、「流れ星プロジェクト」という祝祭的な、それでいて儚い、そんな大きな「物語」を、そこに参加したか、あるいはそれに触れた数人の人々、それぞれの小さな、しかしとても具体的な「物語」と重ねて見せてくれたことにある。
  • JR九州の取組の紹介にとどまらず、新幹線に願いごとを託した人たちの思いを丁寧に描いていたところが非常に良かった。この番組には、ヒューマンドキュメンタリーの要素もあった。流れ星新幹線は番組の主役であると同時に、願いごとをした登場人物の心情をつづっていく上での狂言回しの役割を担っているように見えた。
  • 東日本大震災の翌日に開業した九州新幹線は、熊本地震や度重なる豪雨、そして、コロナ禍という数々の困難に見舞われてきた九州の10年間を見続けた存在でもある。願いごとの中から、それらに関連するものを選び、その人たちの姿を描くことを通じて、この10年を振り返るという方法もあり得たのではないか。
  • この番組は九州地方限定で放映されたのか。非常に良かったので、全国の視聴者にもぜひ見てもらいたい。
  • JR九州の仲さんの取組を丁寧に追うとともに、仲さんの言葉を拾い上げることで、JR九州の「九州の地域とともに歩む」という真摯な企業姿勢と、それを体現するために、この壮大なプロジェクトを起案し実行を進められた情熱が視聴者によく伝わった。
  • 8,350件の願いの中から、どのようにこの3つを選んだのか。大変良い選定だったので、その選定とプロセスにも興味が湧いた。
  • 鹿児島の中学生、北九州の看護師の女性、令和2年7月豪雨で大変な被害を受けた人吉の旅館経営者がコロナ禍でも希望を持とうとするきっかけが、願いをこめた流れ星新幹線だということに感心させられた。
  • JR九州の企画担当者にスポットを当てる必要性があったのか。番組として何を主張したかったのか、ぼやけてしまった感が否めなかった。