番組向上への取り組み

番組審議会だより
第576回(2021年4月21日)

審議対象番組
「地元検証バラエティ 福岡くん。」(制作スポーツ局)
審議対象日
4月4日(日)
放送時間
12:35~13:30

議事の概要

番組内容

福岡県民さえ意外と知らない地元のあれこれを根掘り葉掘り検証する、超『ど』ローカルなバラエティ番組。今回は「あの!スペイン・バルセロナにある未完の大作にして世界遺産、サグラダ・ファミリアの主任彫刻家・外尾悦郎氏の作品がひっそり福岡市に飾られているらしい」という情報を検証。そしてなんと、バルセロナの外尾氏本人にリモートインタビュー実現!作品への思い入れを語る外尾氏から告げられた衝撃の新事実とは!?実際にサグラダ・ファミリア正門に飾られていた石膏製像を福岡で独占公開!

【出演者】
【MC】斉藤優 伊藤舞(FBSアナウンサー)【ゲスト】矢野ペペ

委員のご意見

  • 福岡の知られざることを紹介するという番組趣旨に合っていた上に、外尾さんの思いが視聴者に伝わった。特ダネに相当するような内容も盛り込まれていて充実していた。見終わって満足感が高かった。
  • 冒頭の「番組史上最大級の衝撃スクープ」というあおり方が面白かった。「最大」と言い切らない歯切れの悪さ、含羞が感じられて笑ってしまった。どんなスクープが出てくるのかと期待させながら、きっとその期待は裏切られるだろうという気持ちにもさせる話題の持っていき方、展開の仕方がとても巧みだった。
  • 流れがよくできていた。街頭インタビューと取材で外尾作品を突き止めるだけでも番組として成立したと思うが、踏み込んで外尾さんにリモート取材したことにより、「松の実」に込められた、ふるさと福岡に対する思いを引き出し、著名な彫刻家の作品が福岡にあるという検証バラエティ番組の枠を超え、同じ福岡県民として外尾さんのすばらしい人柄を誇りに感じられる、深みのある番組になった。
  • PayPayドームの近くに外尾さんの作品があるという口コミ情報から、地域住民に尋ねながら周辺のオブジェを探し回るというところは、ぶっつけ本番ではなく作られたストーリーだろうが、とても面白く、いろいろなモニュメントを確認しながら探し歩く様子に引き込まれた。外尾さんという名前にかこつけて、百道周辺に置かれているオブジェをさりげなく紹介していく番組で終わるのかなと思ったりもして、いい意味でだまされた。
  • 本命に出会うまでに少し遊びがあっても、視聴者はずっと興味を持ち続けられる。この番組を通じて、街中の公園や路上に置いてあるオブジェに関心を持って歩くような人が出てくるかもしれない。
  • 地行中央公園は何度も通っているが、「松の実」はあまり印象に残っておらず、全然目に留まらなかった。もともと噴水で、水が流れていたものが、福岡の西方沖地震で故障してしまったという経緯も含め、とてもいい勉強になった。
  • 外尾さん御自身が水が流れる様子について解説され、その表現が印象に残った。また、「松ぼっくりは団結の象徴で、福岡が一つになってほしい」という思いが込められていること、本作品には「水の重要性」というメッセージがあったことを御本人が解説されるという、とてもぜいたくな番組だった。
  • 外尾さんの温かい人柄が画面を通じて伝わった。この番組を見て、外尾さんのファンになった人もいるのではないか。スタッフが取材活動を通じて外尾さんに信頼され、番組づくりに協力してもらったという経緯も感じられた。最後に外尾さんもすごく喜んでいらっしゃったので、よかった。
  • 地中海文明では松の実は団結の象徴で、ローマに行くと巨大な松の実の彫刻がある。それを外尾さんが日本に持ってきて紹介したという文脈で構成してもよかったかもしれない。
  • 「松の実」が本当は噴水だということで、スタッフたちが一生懸命ホースをつないで水を流し、ライトアップまでしたところがよかった。視聴者がコロナで疲れているときに、特に夜の映像は癒やしになったのではないか。背後に西鉄バスやドームが映っているのは、まさに福岡の象徴だと感動した。
  • ここ数年、九州を中心に水害が続き、水はネガティブなイメージで語られることが多い中、とてもポジティブな意味を水に込めていただき、ぐっときた。
  • 水を流して噴水を再現したスタッフの熱意と行動力が外尾さんの心を揺さぶり、サグラダ・ファミリアの石膏模型の存在の話につながり大スクープになった。最後に「皆さん自身が福岡くん。」とおっしゃった外尾さんの感謝の言葉が非常に印象的で、今回の番組の成功をたたえる最大級の褒め言葉であった。
  • 「松の実」に外尾さんの作品であるという表示はしていないのか。直して噴水に戻さないのはどうしてか。できれば復活させてほしいという思いがあり、クラウドファンディングや何かのアクションを起こす手がかりにしても面白いのではないか。
  • ナレーターの語りが非常にユニークで面白かった。大田こぞうさんとはどういう方なのか。
  • 最初のネスカフェのCMの話は長かったと思うが、皆さんがメロディーと商品をすごくよく覚えていて、CMはすごいという印象を改めて持った。
  • 番組の最後で、斉藤さんや矢野ペペさんが「ギャラクシー賞だ」「NHKか」といった発言をしていたのは内輪の盛り上がりに感じ、少々興ざめで残念だった。
  • 外尾さんが福岡出身とは聞いたことがあったが、「松の実」や世界遺産のサグラダ・ファミリアに10年間設置された原寸大の石膏模型が福岡にあることは全く知らなかった。6年前に外尾さんが石膏像を組み上げたと紹介されていたが、誰も知らなかったことを今回の番組で発掘されたことは本当に価値がある。
  • 「スペインのサグラダ・ファミリア」と番組中でずっと言っていたが、バルセロナの人がそれを聞いたら嫌な気持ちになるかもしれない。カタロニア州という言葉はあまり一般的ではないので、せめて「スペインのバルセロナの」という形で紹介してもよかったのではないか。
  • 石膏像を保管してある場所は明かしては駄目なのか。厳重に場所を秘匿しているように見受けられたが、それは演出なのか、あるいは本当にそうなのか。
  • サグラダ・ファミリアに飾られていた天使像の話が非常に面白く、映像自体も美しく貴重だった。また、福岡での保管を申し出て許可されたという経緯から、外尾さんの故郷への思いとともに、スペインで外尾さんが非常に信頼されているということも伝わった。
  • 「福岡くん。」は手軽に楽しめるバラエティだが、司会者の最後の言葉にもあったように、たまには今回のような深掘りした、手をかけた内容だと、非常に視聴者の心をつかむのではないか。