番組向上への取り組み
番組審議会だより
第568回(2020年6月17日)
- 審議対象番組
- 「めんたいワイド特別版 うっちゃれ!崖っぷち九大相撲部」
(制作スポーツ局)
- 審議対象日
- 2020年5月24日(日)
- 放送時間
- 25時50分~26時50分(福岡単)
議事の概要
廃部状態の九州大学相撲部を復活させようと、未経験ながら入部を決意した工学部3年生・船岡佳生さん。体格も運動神経も恵まれているとは言えないのに口だけは横綱級、連戦連敗にも「1本負けても終わりじゃない」とマイペース。厳しい稽古や部員の勧誘、さまざまなハプニングにも悲壮感なく挑む、理系青年の2年間の成長を追った奮闘記。果たして、「七大戦」で念願の一勝は実現するのか?
*ナレーション:浜崎正樹アナウンサー
委員のご意見
- 最後に奇跡的な勝ち方をして、番組を面白くしていたと思う。全然違う世界を知った船岡さんにとっても、人間的な幅を得る経験になっていたのではないか。
- 疑問が多い番組だった。なぜ彼を主人公に選んだのか。船岡さんが一勝もしなかったら番組にできたのか、また、途中でやめようと思わなかったのか。
- 髪を青く染めていたが、本当に彼の意思だったのか、番組が仕掛けていたのではないのか。
- けがや不戦勝など、ちょっとしたきっかけで、勝ちたいという彼の心の変化がうまく描かれていたところが面白かった。
- ナレーションがよかった。相撲は負けっぱなしでみじめでも、声の感じや言葉に救われていたところがあった。いい意味で突き放した感じが秀逸だった。
- 彼のキャラクターあってこその番組だった。素直ではないがどこか憎めないところがあり、最後は応援していた。彼が発するコメントもよかった。
- ほかの登場人物や他大学の相撲部のエピソードをもっと取り上げてもよかったのではないか。
- 新しいことに挑戦していく局面が少なくなったので、強制的に新しい環境に身を置くことは大事なのではないかと、船岡さんを見て改めて感じた。
- へっぴり腰でいつまでたっても勝てそうにない主人公が、いろいろな経験をして感情を豊かに表現していく、負けても負けても相撲をやり続けるというのは、ほんとうに面白かったし、裏方に徹するはずの試合に出場して初勝利を手にするというのは感動的な展開だった。
- 船岡さんが相撲をとる理由である、負けることやノーを突きつけられることはなかなか日常の中ではないというのはそのとおりだと思い、たくましさを感じた。昨今は個人の勝ち負けや優劣をつけるのはどうかという世だが、実際社会に出れば思いどおりにいかないことや屈辱的な敗北というのはよくある。負けて屈辱を味わうことに対する彼の強さや、そのギャップについて改めて考えさせられた。
- 運動が苦手そうに見え、しかも3年生で運動部の新入部員になるというのは意外だった。船岡さんの言動も意外なことが多く、普通のお笑い番組よりも笑えたかもしれない。
- カメラを意識せずに自然体でこれだけ過ごせる人はすごいと思う。社会人との合同練習では見取り稽古ばかりしていたり、ズボンが破れてしまったり、公園で千円札を落としてしまうなど、親しみが持てた。
- 船岡さんや九大相撲部のその後がどうなったのか、またコロナの影響はどうなのかも知りたいので、続編があれば見たい。
- 相撲というスポーツがマイナーでけがも多いので、チラシを配るときや、体験稽古に来た学生一人一人に「入部していただけますか」というお願いなど、低姿勢が印象的だった。
- アマチュア相撲の練習風景とか試合風景は、弱いけど一生懸命頑張っている人が、頑張れば頑張るほど哀愁や滑稽さが漂ってくるのがものすごく不思議だなと思う。そういうアマチュア相撲のよさが存分に引き出されていた。
- 1時間が短く思えるぐらい面白かった。湿っぽいところが全くなく、とてもさっぱりした番組運びだったと思う。最後の奇跡的な勝利にも、感動を押しつけるような演出はなく、素直に勝利を喜ぶことができた。
- 船岡さん自身も、引き出されたキャラクターをうまく自分で引き受けながら、それを楽しみつつ成長していったように思えた。
- ひょっとすると船岡さん本人には、いろいろな人生ドラマみたいなものがあったり、複雑な内面を抱えていたかもしれないが、あえてそこは問題にしないスタンスがとても大事だと思う。