番組向上への取り組み

番組審議会だより
第567回(2020年5月19日)

審議対象番組
FBSのコロナ報道・コロナ関連の放送全般について
(報道部・制作スポーツ局)
審議対象日
特に定めず、NHK・他系列番組等地上波に限らない。

議事の概要

新型コロナウイルスの感染拡大は、関連報道のボリューム激増と同時にバラエティ・ ドラマ等、多ジャンルの放送番組にも波及。取材対象者・出演者のみならず取材担当者等放送従事者の安全確保や、放送が視聴者にもたらす不安や怒り・疑問等感情にも影響をもたらし、さまざまな課題が可視化した。新型コロナウイルス禍の真っただ中、FBSで放送した報道番組および制作番組全般について、他社との比較やFBSへの提言を審議した。

委員のご意見

  • 「めんたいワイド」公式Twitterを使ったアンケート調査は効果的だった。サンプリングに偏りはあるかもしれないが、速報性のある調査はこういう時、重要だと思う。
  • 医療現場のことは常に頭に入れておかなければならない。身近な病院がどういう状況なのか目にすることが増えれば、「第2波」への警戒にもつながり、感染防止と経済活動を両立させることにもなっていくのでは。
  • 通常はニュース、報道番組はNHKしか見ていない。今回、議題のコロナのニュースを見ようと思っているのに、途中でCMが入ることに慣れず、戸惑った。これは絶えず気になることで、大変ストレスを感じた。
  • 新型コロナウイルスのような未知のウイルスへの対応については、感染症対策の専門家の提言などを基に、採用する政策が吟味されていると想像されるが、そうした疫学的な知見をベースにした個別政策の是非に関する報道は総じて少なく、とにかく行動の自粛ばかりが強調されていたように感じる。
  • 4月スタートの新番組の多くが、放送の延期や中止を余儀なくされているようで、番組制作に携わっている方々の苦労は相当なものであろうと推察するが、日々のFBSの番組を見ると、こうした状況の下でも色々な工夫を凝らしながら、日々の難局を乗り越えようとする社会の人々に寄り添う番組制作への熱意が随所に垣間見え、頭が下がる思いである。
  • 安倍首相が特定警戒都道府県になっていた福岡県を含む39県の緊急事態宣言解除を発表した5月14日、午後6時30分からの小川知事の記者会見をリアルタイムで流したことは、県民の関心に応えるものだったと言える。もちろん首相の会見も重要だが、県民にとっては自分の住む県のトップが、これまでの外出自粛や休業の要請についてどうするのかということは大きな関心事で、地元テレビ局としての役割を果たしたと思う。
  • 今回の騒動の中で「報道」という意味で気になったことは、自粛しないパチンコ店に対する店名公表のあり方だ。本来、企業のコンプライアンス違反に対するペナルティとしての「企業名公表」が、今回は逆にお客の増加を誘発するという宣伝・コマーシャルになってしまった。どうすべきだったという答えは持ち合わせていないが、報道機関としても何らかの問題意識は持っていた方が良いかもしれない。
  • こうした状況下において、いち早く情報を得るためには、テレビの報道に頼らざるを得ない人が多いのは事実。FBSも報道機関として、自らの安全・安心は確保しつつ、視聴者に対して有意義な情報を集めて発信し続けていただきたい。
  • 日本語を母語としない方・耳が聞こえない方等、マイノリティに対する配慮は、引き続き検討課題だと感じた。試験的に、テロップにパターン化した英語・中国語・韓国語・手話を入れてみることは難しいだろうか。
  • 番組の冒頭で、注目ニュースの見出しに関心があったので、視聴したいと思った。そのような視聴者も多いと思うので、放送予定時刻も併せて紹介していただきたい。
  • モノクロのウイルスの静止画像は絶対的に感情移入不可能で、得体のしれない不気味さや不安をじわじわと掻き立てて、しかも残像となって焼きつくため、いっそう不愉快な気持ちを引きずることになる。(視聴者が)気づかないうちに心を蝕まれていないか心配だ。安易に用いられている(としか思えない)あの手のアイコンが、社会や個人の深層心理にどの程度、負の影響を及ぼしているかについては、事態が収まった後、十分な調査と検討がなされるべきではないか。