番組向上への取り組み
番組審議会だより
第561回(2019年10月16日)
- 審議対象番組
- FBS開局50周年記念 久原本家Presents
「風の譜 福岡が生んだ伝説の編曲家 大村雅朗」(FBS制作)
- 審議対象日
- 9月21日(土)
- 放送時間
- 午後2時30分~3時55分
議事の概要
(イ)審議番組
番組内容
多くの有名ミュージシャンを輩出している福岡。しかし、編曲家として山口百恵や松田聖子など有名アーティストの数々のヒット曲を手がけ1,600もの作品に携わり、日本の音楽シーンに多大な影響を与えた大村雅朗というアーティストの存在は地元でもほとんど知られていません。そんな大村雅朗の往年の時代を共に歩んだアーティストたちのインタビューやスタジオライブ、再現ドラマを交え、その功績や音楽への情熱など、福岡が生んだ伝説の編曲家の知られざる人間性を描いたドキュメント番組です。
委員のご意見
- 85分という長い番組の中で、さまざまな切り口、テーマで大村雅朗を紹介していた。作詞家の松本隆さんによる福岡訪問、親交のあったミュージシャンによるスタジオライブ、大村さんにまつわるエピソードの再現ドラマなど視聴者を飽きさせない構成で工夫されていた。
- 世の中に知られていなかった大村雅朗さんという人の仕事に光を当て、Jポップの黎明期、歌謡曲からJポップへと移り変わっていく時代を新たな視点から解き明かしてくれた。一般の人の意識が向かない編曲がどれだけ重要な仕事か知らしめてくれた意欲的な番組で、制作者の熱い思いが十分伝わった。啓蒙的な取り組みとして評価されるべきではないかと思った。
- 大村雅朗さんの名前は聞いたことがあったが、これほど多くのヒット曲に携わっていた方だというのは知らなかった。番組内容も歌とトーク、ロケ、過去映像、それぞれのバランスがよく、約90分と長めの番組だったが、だれることなく視聴することができた。非常にぜいたくな内容の番組だった。
- 出演者の顔ぶれの豪華さに驚いた。大作詞家の松本隆さん、70年代から80年代に活躍されたミュージシャンの方々、八神純子さん、渡辺美里さん、ポップスや歌謡曲に造詣が深いクリス松村さんなど、キャスティングがとにかく出色だった。
- 全体を通して、音楽番組として非常に質が高かった。編曲というものの奥深さをわかりやすく紹介しており、大村雅朗さんのすぐれた音楽センスを感じた。当時の日本の音楽シーンの先駆けのような存在だったんだなと改めて認識した。
- 音楽のプロたちが認めた福岡出身の偉大な編曲家がいたということが広くこの番組で認知されたのではないかと思う。
- 手間をかけた労作ですばらしい作品に仕上がっていた。名曲をめぐる秘話が惜しみなく出てきて、1時間半近い番組も飽きることなく視聴できた。開局50周年記念番組にふさわしいと思える質だった。
- 大村雅朗さんをよく知る作詞家の松本隆さんと、音楽プロデューサーの若松宗雄さんを登場させていたことが奏功したと思う。また、多くの歌手に楽曲を提供した中で、同じ福岡県出身のスーパーアイドル松田聖子さんを軸にした展開は見応えがあった。
- 松田聖子さんの「SWEEY MEMORIES」を始め、名曲ができ上がる舞台裏の話は非常に興味深かった。その中でも、松本隆さんが大村さんから預かっていた最後の1曲を「櫻の園」という曲にして松田聖子さんに託し、松田さんが大村さんの作曲と気付いて歌えなくなるシーンは圧巻だった。
- 大村さんの母校、大濠高校吹奏楽部の友人はその当時の様子を「映像が見えるような音楽だった」と振り返り、歌手の八神純子さんは「大村さんの曲には色がいっぱいついていた」と語っていたが、音楽に情景や色が見えるのは音楽にかかわる方の感性の豊かさや繊細さだなと思って鑑賞した。
- 奈良屋町の京染屋を営む生家、大濠高校の吹奏楽部、六本松のアパート、聖福寺のお墓など、福岡との関わりも丁寧に盛り込んであってうれしかった。また、再現ドラマの大村さんがずっと博多弁丸出しでしゃべっていたのも親しみが持て、福岡目線で番組を作っていると感じた。
- 音楽に全く興味がない身としてはかなりつらい内容だったが、再現ドラマやインタビュー、ロケなどを大村さんの音楽の変遷にうまく組み合わせていて、非常にわかりやすかった。時代背景も理解しやすかった。あまり接することのない音楽の世界の方々の考え方や物事の捉え方を見ることができ勉強になった。
- 業界の人ではない立場、市井の人から大村さんの話が出てきてもよかったのではと感じ、天神の喫茶店「風街」のオーナーの話があってもよかったのかなと思った。
- 松田聖子さんの曲を中心に話が展開しているので、出演交渉がかなわなかったのかもしれないが、やはり松田さん本人の肉声が欲しかった。
- 大村雅朗さんは福岡県人にもあまり知られていないと紹介されていたが、全国放送によってもっと多くの人に知っていただきたいと思った。