軽井沢バス転落から3年へ 母が現在の心境

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長野2019.01.12 20:43

大学生ら15人が死亡した長野県軽井沢町のスキーツアーバス転落事故は、今月15日で発生から3年となる。亡くなった大学生の1人の母親が、「どうして死ななければいけなかったのか、悔しくてなりません」などと現在の心境をつづった手記を公表した。

この事故は、2016年1月15日、軽井沢町の碓氷バイパスで、乗客乗員41人が乗ったスキーツアーバスが転落し、15人が死亡したもの。15人のうち乗客は13人で、いずれも大学生だった。

事故から3年を迎えるのを前に、亡くなった法政大学3年・西原季輝さん(当時21)の母親が、代理人を通じて手記を公表した。西原さんの母親が手記を公表するのは今回で3度目となる。



     <以下、手記全文>

事件から3年…とても短く感じます。木曜日の夜、先輩と行くスノーボードを楽しみに、「明日の夜帰ってくるよ!」と言って季輝は元気に出かけて行きました。今でも帰ってくるような気がしますし、毎日、ここにいてくれたら…と考えてしまいます。夢でもいいので、もっと会いに来てくれたらいいのに、といつも思います。

出かける前に一緒にテレビを見ながら、笑い合った楽しいひとときがあったことを忘れません。木曜日が来る度辛くて、一緒に見ていたテレビ番組を事件後は見ることができなくなりました。頑張れば叶えられないことはないと、これまでの人生頑張ってきましたが、事件当日、遺体となった季輝に会ったときの、自分の力ではどうすることもできない絶望感を忘れることはありません。

季輝の夢は、学校の先生になり、学生にソフトテニスを教えることでした。駅伝で懸命に走る大学生を見ていると、頑張っていた季輝の姿を重ねてしまいます。大学生を指導する監督やコーチを見ていると、もう見ることはできない将来の季輝の姿を重ねてしまいます。あんなに頑張っていたのに、何の落ち度もないのに、どうして死ななければいけなかったのか、悔しくてなりません。

事件から3年が経ち、このまま季輝は誰からも忘れられてしまうのではないかと思うと、寂しく苦しいです。西原季輝という人間が生きていたことを、ひたむきに夢に向かって頑張っていた人間がいたことを、皆さん、どうか忘れないで下さい。

このような凄惨な事件が二度と起きないようにするためには、事故の原因を解明することが必要です。国土交通省の調査で、バス会社の運行管理が本当にずさんで、多くの法令違反があったことが明らかになりました。しかし、なぜ決められたルートを走行していなかったのか等、明らかにされていない点も多くあります。長野地方検察庁には、一日も早く捜査を終えて、バス会社の代表者、運行管理者の責任をしっかりと追及し、真相を明らかにしてもらいたいと思います。

また、今回の事故の原因の解明が遅れている要因の一つとして、バスにドライブレコーダーがついていなかったことがあげられると思います。国土交通省は、乗客を運ぶ業務用の車には、必ず、車の前と後にドライブレコーダーを設置する義務を課すべきです。そして、事故を防止するための規制をしっかりと行い、その規制が守られているか、監査を十分に行うことも必要です。

国土交通省から監査の人手が足りないという説明を受けましたが、人手が足りないから監査が不十分であっても許されるということは全くありません。事故で大切な命を失わない世の中を目指して、安全な道路と安全な車を作っていってほしいです。そして、すべてのドライバーが安全への意識を向上させることを願います。

※写真は西原季輝さん(遺族提供)