
2020.06.23
燃え上がる嫉妬の炎! 運命の人は苺?それともマリア⁉『美食探偵 明智五郎』第8話
運命の赤い糸が繋がっているのは、はたして―。
次回が最終回。『美食探偵 明智五郎』がクライマックスを迎えようとしています。途中、新型コロナウイルスの影響で撮影中断もありましたが、再開後は怒涛の展開で一気に目が離せなくなりました。1時間の放送時間があっという間です。
第8話は、マリア(小池栄子)の魔手がとうとう小林苺(小芝風花)にまで伸びます。あらすじは次のとおり。
前回、マリア(小池栄子)の悪魔のささやきにのってしまい、猛毒キノコを使ってストーカーの田畑(森永悠希)を殺害しようした苺の友人で地下アイドルのココ(武田玲奈)。病院に運ばれ、一命をとりとめたかに思えた田畑だったが、実はココが使った猛毒キノコはじわじわと体を蝕み、7日後に死をもたらす恐ろしいものだった。田畑の死を確実にするため、彼を病室から連れ出すマリアファミリー。そこには死んだと思われたれいぞう子(仲里依紗)の姿もあった。
田畑の保護に失敗した明智五郎(中村倫也)の前に姿を現したマリアは、「次は苺を明智の目の前で殺す」と宣言する。明智は苺を守るため、苺の親友・桃子(富田望生)と共に同居して目を光らせるも、マリアの巧みな策略にはまってしまい、結局苺はマリアの元へとおびき出されてしまう。間一髪現れた明智と桃子によって命の危機は脱した苺だったが、マリアはなおも明智を引き入れようとし、明智はそんなマリアの重力に惹かれてしまう。その2人を見て、苺はついに明智への愛を告白。「行かないで」と懇願する…という内容でした。
この物語の核を担う奇妙な三角関係も佳境に入ってきました。明智の心、友人、そして自らの命をも奪おうとするマリアは、苺にとって憎たらしくて仕方のない相手。しかし苺の言動からは、どこか彼女には敵わないという劣等感のような感情も窺え、苺ファンとしてはなんとも心が締め付けられます。この三角関係の決着は最終回まで待つしかありませんが、明智の心が今一つハッキリしないがために、なんとも予想しづらい。最終回への期待と不安が入り混じり、早くも来週が待ち遠しくあります。
善か悪か。人間の本質を問いかけるマリアファミリー
最終回を目前に、マリアファミリーも集結しました。れいぞう子(仲里依紗)もすっかり殺人の快楽に侵されているようで…もうバラバラは勘弁してほしいのですが。
今回はいつものようなFBIやCIAも真っ青の潜入技術に加え、ルパン並みの変装技術も見せつけてくれました。一体ぜんたい、どこでどうやってこの技術を身に着けたのか。マリアって何者なんでしょう。疑問は拭えませんが、疑問が膨らめば膨らむほど不気味と恐怖感も増していきます。
苺の願いもむなしく、友人・ココもマリア側の人間になってしまいました。ストーカー田畑の吐血を顔に浴びてほほ笑む場面は、堕天使ルシファー(ルキフェル、ルシフェル)誕生を確定付けるに十分なシーン。マリアに言わせれば“堕ちた”のではなく、「これが人間の本来あるべき姿」といったところでしょうか。
ココを含め、マリアファミリーを突き動かすのは強烈な「個」にほかなりません。「これが本当の私」という殺人をも許容する強い自己肯定。そしてそれは彼女らにとって自分を守るための唯一の手段でした。友人を思う苺の言葉はココの心に届きませんでしたが、自分や大切なものを救ってくれた者に妄信する姿は、実社会でもありえることです。
これは洗脳か解放か。マリアファミリーを見ていると、人間の性悪説、性善説についても考えてしまいます。今回の新型コロナによる自粛のなかでも議論されましたが、人間は悪だからルールで縛らねばならないのか、それとも善と信じて自由を保障すべきなのか。物語は人間の本質とは何かを問いかけてくるようです。
3人の思いが交錯。嫉妬に燃えるマリア、健気にもがく苺。運命に選ばれるのは?
今回は明智、マリア、苺、3人の思いが激しく交錯すると共に、それぞれの感情がストレートに伝わってくる回でもありました。明智との絆に自信がもてず、空回りすることも多いけれど健気にもがく苺。そんな苺が作る「ちくわの磯辺揚げ」が唯一無二の味であるとし、彼女を守ろうと奮闘する明智。苺を守ろうと必死な明智を見て、マリアはあきらかに嫉妬に燃えていましたね。冷徹・冷静な女性として描かれてきたマリアがこれほど感情を露わにするシーンはこれまでになかったと思います。歪んではいるが一途な思い、嫉妬に狂う女性の心情を表現した小池さんの「目」の演技力も光っていました。
ラストシーン、「あなたが好きです」と告白した苺に、明智は「ありがとう。小林苺」と返します。経験したことがある人もいると思いますが、告白した相手からの「ありがとう」という返しは、なんともいえません。この場合、「ありがとう」のあとに続くのは8割がた残酷な回答である気がします。そして「一号」ではく「苺」と初めて呼んだ意味とは…。
第1話で崖から身を投げたときと同じように、またしても深い穴に身を投げるマリア。今回は明智も彼女を抱きしめたまま、共に落ちていきます。これは文字通り2人が引き返せない世界へ“落ちて”しまった瞬間だったのでしょうか。物語のフィナーレは、誰が笑い、誰が泣き、運命の赤い糸は誰の指に結ばれているのか。最終回は絶対に見逃せません!
イラスト鎌田かまを
次回が最終回。『美食探偵 明智五郎』がクライマックスを迎えようとしています。途中、新型コロナウイルスの影響で撮影中断もありましたが、再開後は怒涛の展開で一気に目が離せなくなりました。1時間の放送時間があっという間です。
第8話は、マリア(小池栄子)の魔手がとうとう小林苺(小芝風花)にまで伸びます。あらすじは次のとおり。
前回、マリア(小池栄子)の悪魔のささやきにのってしまい、猛毒キノコを使ってストーカーの田畑(森永悠希)を殺害しようした苺の友人で地下アイドルのココ(武田玲奈)。病院に運ばれ、一命をとりとめたかに思えた田畑だったが、実はココが使った猛毒キノコはじわじわと体を蝕み、7日後に死をもたらす恐ろしいものだった。田畑の死を確実にするため、彼を病室から連れ出すマリアファミリー。そこには死んだと思われたれいぞう子(仲里依紗)の姿もあった。
田畑の保護に失敗した明智五郎(中村倫也)の前に姿を現したマリアは、「次は苺を明智の目の前で殺す」と宣言する。明智は苺を守るため、苺の親友・桃子(富田望生)と共に同居して目を光らせるも、マリアの巧みな策略にはまってしまい、結局苺はマリアの元へとおびき出されてしまう。間一髪現れた明智と桃子によって命の危機は脱した苺だったが、マリアはなおも明智を引き入れようとし、明智はそんなマリアの重力に惹かれてしまう。その2人を見て、苺はついに明智への愛を告白。「行かないで」と懇願する…という内容でした。
この物語の核を担う奇妙な三角関係も佳境に入ってきました。明智の心、友人、そして自らの命をも奪おうとするマリアは、苺にとって憎たらしくて仕方のない相手。しかし苺の言動からは、どこか彼女には敵わないという劣等感のような感情も窺え、苺ファンとしてはなんとも心が締め付けられます。この三角関係の決着は最終回まで待つしかありませんが、明智の心が今一つハッキリしないがために、なんとも予想しづらい。最終回への期待と不安が入り混じり、早くも来週が待ち遠しくあります。
善か悪か。人間の本質を問いかけるマリアファミリー
最終回を目前に、マリアファミリーも集結しました。れいぞう子(仲里依紗)もすっかり殺人の快楽に侵されているようで…もうバラバラは勘弁してほしいのですが。
今回はいつものようなFBIやCIAも真っ青の潜入技術に加え、ルパン並みの変装技術も見せつけてくれました。一体ぜんたい、どこでどうやってこの技術を身に着けたのか。マリアって何者なんでしょう。疑問は拭えませんが、疑問が膨らめば膨らむほど不気味と恐怖感も増していきます。
苺の願いもむなしく、友人・ココもマリア側の人間になってしまいました。ストーカー田畑の吐血を顔に浴びてほほ笑む場面は、堕天使ルシファー(ルキフェル、ルシフェル)誕生を確定付けるに十分なシーン。マリアに言わせれば“堕ちた”のではなく、「これが人間の本来あるべき姿」といったところでしょうか。
ココを含め、マリアファミリーを突き動かすのは強烈な「個」にほかなりません。「これが本当の私」という殺人をも許容する強い自己肯定。そしてそれは彼女らにとって自分を守るための唯一の手段でした。友人を思う苺の言葉はココの心に届きませんでしたが、自分や大切なものを救ってくれた者に妄信する姿は、実社会でもありえることです。
これは洗脳か解放か。マリアファミリーを見ていると、人間の性悪説、性善説についても考えてしまいます。今回の新型コロナによる自粛のなかでも議論されましたが、人間は悪だからルールで縛らねばならないのか、それとも善と信じて自由を保障すべきなのか。物語は人間の本質とは何かを問いかけてくるようです。
3人の思いが交錯。嫉妬に燃えるマリア、健気にもがく苺。運命に選ばれるのは?
今回は明智、マリア、苺、3人の思いが激しく交錯すると共に、それぞれの感情がストレートに伝わってくる回でもありました。明智との絆に自信がもてず、空回りすることも多いけれど健気にもがく苺。そんな苺が作る「ちくわの磯辺揚げ」が唯一無二の味であるとし、彼女を守ろうと奮闘する明智。苺を守ろうと必死な明智を見て、マリアはあきらかに嫉妬に燃えていましたね。冷徹・冷静な女性として描かれてきたマリアがこれほど感情を露わにするシーンはこれまでになかったと思います。歪んではいるが一途な思い、嫉妬に狂う女性の心情を表現した小池さんの「目」の演技力も光っていました。
ラストシーン、「あなたが好きです」と告白した苺に、明智は「ありがとう。小林苺」と返します。経験したことがある人もいると思いますが、告白した相手からの「ありがとう」という返しは、なんともいえません。この場合、「ありがとう」のあとに続くのは8割がた残酷な回答である気がします。そして「一号」ではく「苺」と初めて呼んだ意味とは…。
第1話で崖から身を投げたときと同じように、またしても深い穴に身を投げるマリア。今回は明智も彼女を抱きしめたまま、共に落ちていきます。これは文字通り2人が引き返せない世界へ“落ちて”しまった瞬間だったのでしょうか。物語のフィナーレは、誰が笑い、誰が泣き、運命の赤い糸は誰の指に結ばれているのか。最終回は絶対に見逃せません!
