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2020.06.01放送のまとめ

人は天使か悪魔か。現代社会の問題も浮き彫りに! 『美食探偵 明智五郎』特別編第2弾

人は天使か、それとも悪魔か。

『美食探偵 明智五郎』は、人の“変化”を描きます。マリア(小池栄子)は明智五郎(中村倫也)との出会いで変わり、マリアと交わった人は殺人鬼へと豹変し、明智もまたマリアとの出会いで生まれた新たな自分と向き合わねばならなくなります。はたして、人の本質は善なのか悪なのか。あるいは両方を持つからこそ人なのか。心の光と闇を見事に対比させる、すなわち陰影をつけることでこのドラマの登場人物は、より立体的に浮かび上がります。

今回の『美食探偵 明智五郎』は特別編第2弾。シェフの伊藤(武田真治)と、れいぞう子こと桐谷みどり(仲里依紗)のオリジナルストーリー2本立てでした。前回同様、主人公の明智と助手の小林苺(小芝風花)がMCを務めるという特殊なかたちでしたが、舞台のような演出で楽しめました。途中2人が親指を立てる(Good・いいね)シーンがありましたが、あれはアドリブだろうと睨んでいます。皆さんどう思われたでしょう。録画している人はぜひもう一度観てみてください。

また、最近は小芝風花の演技にも注目しています。もともと演技力には定評のある方ですが、個人的にはとても器用な女優さんという印象。天真爛漫でキュートな苺はまさにハマリ役といえるし、明智・マリアとの奇妙な三角関係に揺れる苺の切なさも見事に演じきっています。そして彼女は声がいい。この声、タイプです(笑)。ドラマのナレーションも務めていますが、よく通る声で、キーは高いけど嫌みがない。その声や表情だけで演技ができ、それでいてまだ23歳。2020年ブレイクの期待大です!

シェフ伊藤の狂気。まさかの新事実が明らかに
第3話に登場したシェフの伊藤は、これまでの登場人物のなかで、マリアに次いで大きく変貌した人物ではないでしょうか。今回の特別編は、自分の店と料理を酷評したグルメサイトのレビュアーを殺害した後日談でしたが、そこで衝撃の事実が明らかになりました。実は、シェフが犯した罪を知る人物が、明智や苺、マリア以外にもいたのです。それは、店のギャルソンである野中(赤楚衛二)。彼は事故に見せかけたシェフの殺人にいち早く気づいたものの、シェフを慕う気持ちから事件の証拠隠滅まで謀っていました。

さらに衝撃だったのは、シェフにそのことを打ち明け、それでも彼についていきたいと言う野中をシェフは毒殺していたこと。自分を慕う部下でさえ、変わってしまった彼にとっては危険な「ユダ」でしかなかったわけです。しかも毒を仕込んだのは、自身のプライドともいえる「仔牛フィレとフォアグラのロッシーニ風」。まさに狂気です。一方で、毒に苦しみながら死んでいった野中は、シェフに裏切られてもなお笑顔でした。これもある意味狂気じみた愛情といえるかもしれません。

…ただ、素朴な疑問として、これほど容疑者の特定が容易すぎる殺人をどう隠蔽したのかが、ものすごーく気になってます。

善意も凶器。第5話に秘められたハラスメントへの警鐘
もう1つのオリジナルストーリーは、このドラマ最恐のスプラッター回としてネットがざわついた第4話の裏側。夫との幸せな食卓を夢見る主婦・桐谷みどりが受けた義母からの「キッチンハラスメント」の詳細が描かれました。

劇中では、とにかく醤油と砂糖をたっぷり使う田舎料理にみどりは辟易していましたが、この料理自体が悪いというわけではありません。もちろん塩分過多、糖分過多はいけませんが、
その土地に根差した料理、母親の味はそれぞれに価値があるものであり、これはあくまで食の好み、そして好みの強制が問題なのです。というより、ここまで食の好みが違うのになぜ結婚したんだろうという「そもそも論」が聞こえてきそうですが、結婚はしてみないとわからんこともあるんです(経験談)。

ややこしいのは、義母はあくまでよかれと思ってやっていること。この「善意の押し売り」が、みどりを殺人犯へと変えました。かけ離れた食の好みから、「料理下手」とのレッテルを貼られますが、この一方から見ただけの決めつけも非常に怖い。人の行動や価値観にはそれぞれに事情や背景、経緯があり、自分の当たり前は他人の当たり前でないことを知らねばなりません。ハラスメントを生む要因の多くが、想像力の欠如。最近は情報が容易に、いくらでも入手できますが、それゆえに想像力を働かせる機会が少なくなっているのかもしれません。「相手がどう思うか」に考えを巡らせる大切さ、善意も使い方を誤れば刃物になるという自覚の必要性。それらが今回の物語の“裏メニュー”ではないでしょうか。

このドラマはフィクションであり、現実的に考えてありえない展開も多々ありますが、現代の問題を投影するからこそ、心に迫るものがあります。『美食探偵 明智五郎』は、1回目より2回目がさらに面白い。見るたびに深みが増す、時間と共に旨くなる煮込み料理のようです。
イラスト鎌田かまを

この記事を書いた人

パンフィールド
自由に、気ままに、ちょっとナナメにFBSの番組を楽しんでいます。

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