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2020.05.20

衝撃のキスシーンに騒然 『美食探偵 明智五郎』第6話は燃え上がる愛憎劇

新型コロナウイルスの影響で多くのドラマが放送中止となるなか、日曜ドラマ『美食探偵 明智五郎」は第6話まで無事に放送されました。ただ、テレビドラマは時代を映す鏡。そのストーリーに今を生きるヒントを探してしまいます。

愛とは、大勢の中からたった1人の男なり女なりを選び、他の人を決して顧みないことなのです。 トルストイ

第6話を観ていると、私はこの言葉がふと頭に浮かびました。人は愛する相手には極限まで温かいが、一方で対象外の相手へは時に無慈悲で独善的なもの。自粛警察に走る人も、自分や家族を守りたいがあまり、他人に対し攻撃的になっているのかもしれません。愛は人を救いもし、容赦なく殺しもする。入り混じり、絡み合う愛と憎しみ。このドラマは、そんな人間模様を教えてくれている気がします。あぁ、怖い。愛、そして人間が怖い。

さて、『美食探偵 明智五郎』第6話のあらすじは、次のようなものでした。母・寿々栄(財前直美)の強引な段取りで、弟・六郎(草川拓弥)と一緒にお見合いをすることになった明智(中村倫也)。しかし、お見合い場所となった高級料亭にはすでにマリア(小池栄子)ファミリーの手が伸びていた。
お見合いのさなか、お見合い相手である社長令嬢(北原紗英)が昏倒し、死亡する事件が発生する。死因はフグ毒だった。当初、明智はマリアの仕業と睨むが、真相を追うと犯人は明智の命を狙った別の人物であることが発覚。その計画を事前に察知したマリアは「愛する人」を守るために料亭に潜入したのだった。犯人によって小屋に閉じ込められ、火を放たれる明智。苺は炎上する小屋から明智を救おうとするも、恐怖で足がすくんで中には入れず。が、そこに現れたマリアは臆することなく火の海へと飛び込み、明智を救出する。炎の中で口づけを交わす2人。苺はそれを傍観することしかできなかった…というもの。

第6話は、物語中盤のクライマックスといえる波乱の内容。今回繰り広げられたのは、紛れもなく愛憎劇。ほのかな恋心を抱くが、あえて言えばまだ“その程度”にしかすぎない苺と、愛する人のためなら手段を選ばないマリアの決定的な差が如実になりましたね。苺ちゃん切ない…(泣)。炎の中でのキスシーンは、なにやら明智がダークサイドに堕ちゆく予感すら感じさせる本ドラマ屈指の名シーンでした。

相変わらず、緊張と緩和も巧みです。回を追うごとにシリアスな展開がメインになってきていますが、独特のキャラが光る刑事の高橋(佐藤寛太)や「七五三か」とツッコまずにはいられない桃子(富田望生)の着物姿が絶妙の箸休め。シリアスさに胃もたれさせない構成の上手さもこのドラマの魅力にほかなりません。

猛毒⁉フグも真っ青!マリアのささやきが心に刺さる
今回、殺人事件のキモとなったのは、フグ毒として知られる「テトロドトキシン」でした。毒性は刑事ドラマの常連・青酸カリのおよそ850倍という恐るべき猛毒です。フグは生まれつきこの毒を持っているわけではなく、摂取する食べ物のなかに含まれた毒素が徐々に体内に蓄積していくらしいです(生物濃縮という)。

そんなフグ毒以上に痺れたセリフがありました。それはマリアが言った

「愛する人との未来を守りたい」

という一言。人格はかなり歪んでいますが、こと明智への愛に関しては真っ直ぐなマリアが放つ言葉は、時として胸に突き刺さるものがあります。第6話のクライマックスシーンでは、「愛する人との未来を守りたい」と願う2人の女性の明暗が分かれます。火の海に包まれる明智、その明智を救いに行くマリア。そして私が感情移入したのは、その2人を見て立ち尽くすしかない苺でした。たとえ愛する人のためでも、自分の命をさらす行動はなかなかとれるものではありません。コロナ禍の中でも放送されているドラマ『美食探偵 明智五郎」は、マリアと苺という対照的なヒロインを通して、愛することへの覚悟と、愛をどこまで実践できるのかを問いかけているのでは…というと、深読みしすぎでしょうか。

未曽有の混乱を引き起こした新型コロナウイルス。みなが自分と自分の大切な人のために懸命に踏ん張り、その成果もあって、現在一旦は収まりを見せつつあります。ただ、あくまで一旦。ここで油断せず、大切な人のためにもうひと踏ん張りせねばと、この原稿をしたためながら考えています。

イラスト 鎌田かまを

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