金色のアスリート

放送内容

2019.8.31 OA

宮原 美穂 空手

2020年の東京オリンピックで初めて正式種目として採用されることになった「空手」。

女子50キロ級の宮原美穂選手。
去年、世界選手権で、日本勢唯一となる金メダルを獲得。

宮原「自分は攻める事が好きなので攻めてポイントを取って勝ちたい。オリンピックで優勝したいなと思います」

目指すは東京オリンピックでの金メダル!
圧倒的な強さの秘けつに迫ります。

潮田「こんにちは~小柄なんですね。競技をしているときはすごく大きく迫力もありますけど実際にお会いすると小柄で」

福岡市出身の宮原選手が空手を始めたのは、小学2年生のとき。
空手道場に通っていたお兄ちゃんの送り迎えをしていたのがきっかけでした。

潮田「初めて空手をやったときはどうでした」
宮原「楽しかったです」
潮田「どんなところが?」
宮原「突いたり蹴ったり」

空手の競技には大きく分けて「形」と「組手」があります。
形は仮想の敵に対する攻撃技と防御技を一連の流れとして組み合わせた演武。
もうひとつの組手は、「突き」「蹴り」
そしてボクシングのフックに似ている「打ち」の3種類で攻撃を行います。
決められた箇所に対して、コントロールされた技がポイントとなります。
競技時間は3分間で8ポイント差がついたときまたは終了した際にポイントの多い方が勝者となります。

宮原選手は50キロ級の組手の選手。
持味は一瞬にして相手選手の懐に飛び込めるスピード。
そして…この上段突きです。

潮田さんも体験してみることに…

潮田「こわ~い」

一瞬にして目の前に

潮田「コレ実際には本当に当たるんですよね。すごいですね。鳥肌立ちました。」

宮原選手はこのスピードと華麗な上段突きを武器になみいる強者を倒してきました。

潮田「空手のスタイルとしては攻めor守り」
宮原「自分は攻めのスタイルです」
潮田「性格に影響している?」
宮原「そうですね。負けず嫌いだったり。自分がずっとやんちゃだったので」

小さい時はやんちゃだったと語る宮原選手。
幼少期は早良区のお寺で行われている空手道場に通っていました。
宮原選手の当時を知る住職で師範の明吉さんはこう話します。

明吉住職「男子の中に入って稽古するのがとても好きで、同じ同級生の女の子たちとはちょっと力強さも全く違うくらいのずば抜けた力強さ・才能を持った子だった。大切なことは誠実で謙虚であるということ。これが彼女にはぴったり当てはまると思います。休むことなく道場のスタイルは外での境内の砂利の上で行いますので、最初は足の裏の皮をむくこともありますしそういったつらい稽古でも休まずに通い続けてそして毎日毎日ひたすら稽古に励む、その中から彼女の才能というのが徐々に生まれてきたのではないのかなと思います」
そして、 師範の明吉さんは宮原選手にあるスタイルを教えます。

住職「攻撃は最大の防御という言葉がありますけど攻撃することによってやはり相手もひるみますし」

明吉さんから前に出続けるスタイルを教わった結果、中学2年生の時に全国空手道選手権大会で優勝。
小柄ながら次々と大きい選手を打ち負かし、 “天才中学生”と呼ばれるほどに。

その後、福岡を離れ空手の名門校・帝京高校に進み2年連続でインターハイを制しました。
そして、国内には敵無しとなり大学4年生の時に挑んだアジア選手権では持味のスピードある攻撃でポイントを連取しアジア、ナンバー1にー

潮田「海外選手と戦う時に気をつけていることは」
宮原「海外選手ですか…躊躇しないことです。入る時は思いっきり入ってということをいつも考えています。迷ったときはやっぱり相手に返されてポイントを取られてる事が多いので中途半端にしないようにしています」

アジア女王となり挑んだ世界選手権ではー

大技の上段蹴りで世界ランキング1位の相手を破り、見事世界一に輝きました。
しかし、先月行われた東京オリンピックの代表選考大会で世界女王に新たな壁が…

宮原「攻めなくてもいいところで攻めてしまって」

福岡市・早良区出身の女子空手50キロ級・宮原美穂選手。
去年の世界選手権で見事世界一に輝き今では海外選手からも研究される存在に。

潮田「海外選手の特長は?」
宮原「海外の選手は駆け引きが上手ですし、攻撃もできれば返しもできて蹴りもできるというレパートリーが多いです」
潮田「今の自分の課題は?」
宮原「自分は攻める事が好きなので攻めてポイントを取って勝ちたいんですけど、やっぱり自分が攻める事で相手は返しを狙ってくるので」

前回王者として挑んだ先月のアジア選手権。

相手は去年の準決勝で勝利を収めた世界ランキング16位の選手です。

試合開始13秒、得意の上段突きでポイントを先取すると持ち前のスピードある攻撃でポイントを連取。
しかし、相手からの返しを受けポイントを奪われると再び、相手から返しを受け1点差に詰め寄られます。

それでも前に出続け攻撃のスタイルを変えない宮原選手。

その後、両者譲らず残り時間20秒。
ポイントは1点差のまま…
ここでも相手に上段突きで返されます。

宮原「ポイントを取りたいって欲が強すぎて攻めなくていいところで攻めてしまって」

最後は審判団の判定で敗れ準優勝。
宮原選手はこの試合、“返し”で6ポイントも奪われてしまいました。

潮田「結果については」
宮原「悔しかったです。勝てる試合を逃しましたし、負けるときと同じパターンで負けてしまったので、そういうところを変えていかないといけないのかなと思いました」
潮田「東京五輪では得意とする50キロ級がないんですよね。1つ上の55キロ級で挑戦されると思うんですけど」
宮原「55キロ級だとリーチがあるので、今まで自分が返されてきた突きを、リーチがあるっていうのは今まで以上に返されやすくなると思うので、自分はもっとスピードを磨いていかないといけないと思いますし自分の苦手な中段突きとかも、もっと練習してポイントを取っていけるようにしていきたいなと思います」

持味のスピードある攻撃にさらなる磨きをかけ
目指すは東京での金メダルー

宮原「2020年の8月6日から空手の競技がはじまるんですけど、自分が日本武道館に立って試合したいなって思います」

1度は世界を制した22歳の真価が問われるこの1年。

再び、世界の頂点へ!