金色のアスリート

放送内容

2019.3.30 OA

小林 優香 自転車競技(トラック)

6日前。岐阜で行われた「ガールズケイリンコレクション」。
国内のトップ選手が出場するこのレースを圧勝で制した25歳。

彼女は今、漢字で書く競輪だけでなく、カタカナの「ケイリン」でもトップを目指しています。
日本発祥のオリンピック競技。
男子は2000年、女子は2012年から、正式種目になりました。
佐賀県出身・小林優香。
ガールズケイリンで、勝率90%を誇ることから、「絶対女王」の異名を持っています。

潮田:やっぱりね、競輪選手はなんと言ってもね、
小林:太ももが・・・63です
潮田:洋服とか結構大変じゃないですか?
小林:こっち(太もも)に合わせるとウエストが大きくなる・・・
潮田:おしゃれも気になるのにねー
小林:はい、おしゃれしたいです・・・

おしゃれも楽しみたい、普通の25歳。
そんな彼女が今、その足で目指す先は、2020年・東京オリンピック。

競輪場といえば「バンク」と呼ばれるトラック。
スピードで遠心力がかかるためコーナーの傾斜は30度以上にもなっています。

小林:ここが一番傾斜があるくらい
潮田:こわい!すごいですね、これ。
潮田:脚がすくみます、若干。
小林:自転車に乗るとぜんぜん・・・
潮田:へーそうなんだー。

そんな小林選手、
実は18歳までは、筋金入りの“バレーボール少女”!
インターハイにも出場し、「オリンピック」を夢見る一方、165センチという小柄な体格にずっと悩んでいました。
そんなとき、テレビで偶然知った 「ガールズケイリン」の存在。

小林:その後にちょうどロンドンオリンピックの男子のチームスプリントを見て「これならオリンピックにいける」って思いました。
潮田:普段から自転車に乗るのが得意だった?
小林:ママチャリにしか乗ったことがなくて、でもなぜかママチャリにスピードメーターをつけていたので。
潮田:じゃあちょっと速いかもっていうのはあった?
小林:いけるかもって思いました・・・

「オリンピック」の夢を、これにかけようー
すぐに競輪学校に入学。
周りに追いつくため、がむしゃらに練習しました。

潮田:初めて競輪の自転車に乗ったときは?
小林:魔法のホウキに乗ってるみたいって 小自分の力であれだけ出るのってすごいなって思いました。
潮田:だって時速60~70キロ。自動車ですよ?
小林:そうですよね、だから自分が走っていると、すごく楽しい。

小林選手の師匠・藤田けんじさんは、当時、練習をつきっきりで見ていた一人です。自分たちが「もう帰ろうや」ってい うくらい、それからでもあと何本かやっていきます、っていう形でやってたんで もともと素質もあるんでしょうけど、さらにそれに努力を重ねているので、「努力の天才」だなと。
誰よりも努力して、迎えたデビュー戦。

いきなりの優勝で、その名をとどろかせました。

【優勝インタビュー】
小林「デビュー戦で緊張したけど、ファンのみなさまの声援が力になりました!」
このデビューから、
当時の新記録・22連勝を達成。
およそ3年間で、「国内最強」と言われるまでになりました。
しかし、転機が。

2016年3月。

このレースで、左肩を損傷。
さらに2か月後のレースでは、その怪我の影響でスタート直後に、脱臼―

とても、世界で戦っていける体ではない―
オリンピックを見据え、体にメスを入れることを決めます。

潮田:2016年に手術。その当時の気持ちは
小林:勝つのが当たり前っていう世界で、たぶんデビューして初めてゆっくり出来たときだったのかなって思うんですけど、そのときにもう1回オリンピックっていうものをもう1回追いかけてもいいのかなって。思いました。やっぱり東京オリンピックっていうのが自分の人生の目標なので

ケガで立ち止まったからこそ、改めて見えた目標―
手術後、国内レースを控え、大きく環境を変える決断をします。
静岡県・伊豆市の「ベロドローム」。
ここは、東京オリンピックの会場に正式決定した場所です。
オリンピックの自転車・トラック競技は1周250メートルの木製トラックで争われ、小林選手が出場を目指すケイリンなど6種目があります。
小林選手は2017年から伊豆に拠点をうつし、ナショナルチームの練習に専念。
海外レースに挑む生活を送っています。

Q.慣れました?
だいぶ慣れました。往復なんで、家と競技場との(伊豆にきて変わったこと)選手としてはやっぱり見た目に関しては体重がまず変わりましたし、20キロ近く落としたので、やっと戦える体になってきたなっていうこと。

伊豆に引っ越してすぐ、食事制限で18キロの減量に成功。
肉体改造を命じたのは 日本代表ヘッドコーチに就任した、フランス人・ブノワ氏です。
リオオリンピックでは中国代表を金メダルに導き、「メダル請負人」といわれています。

Q.これから伸ばしてあげたいところ
最大パワーと最大スピードを少しあげられたらと思います。
完全に変えることはできないが、もう少し伸ばすことはできる。
(東京五輪は)いい目標であって、今はまだ準備できていないが必要なタイミングには十分きているとおもいます

小林:私結構チームで一番怒られているんですけど・・・
潮田:そうなんですか!なんでだろ~
小林:ほめられたことないです。周り男子6人、女子もう1人いるんですけど、そのひとたちは「よくやった。次はこうしろ」って言われて。私は「死んだほうがマシだ」とか言われます。笑
潮田:それだけ聞くと、一番思いいれがあるような気がする。期待してるんじゃないですか。
小林:本当ですか・・・頑張ります

練習漬けの日々。その中で、唯一リラックスできる時間があるといいます。
これです(※画像みせてもらう)
小林:かわいい感じの。インスタで探して、この方が作るネイルとか良くみているので・・・
25歳の素顔―
ネイルアートを変えるのが一番の気分転換になるとか。

潮田:「かわいい!」
小林:「かわいくないですか!?」

テンションあがったんで、きょうの練習たぶんやばいです。
リミッター外れるくらい練習できます
(爪をみて)ガンバロウ。
1月、インドネシアでのアジア選手権。
東京オリンピック出場へのポイントをかけた大事なレース、決勝の舞台まで進みました。

実は小林選手、
予選で落車し、あの左肩を負傷していました。
それでも、この2年間の成長を見せつけたのです。
女子ケイリン 小林優香。
オリンピック出場へのポイントをかけた大事なレースにのぞみます。
オリンピック競技の「ケイリン」は7人以下の選手で250メートル・8周の着順を競います。

このレース、後方で様子を伺っていた小林選手。
ここにきて、 仕掛けます。
日本人女子では15年ぶりとなるアジア選手権の金メダル・・・!

勝負カラーの赤いネイルでつかみとりました。
アジアのトップ選手たちに勝ったことも、大きな自信にー

潮田:目標ってイメージができないと、立てない。
そういうイメージっていうのは出来るようになりましたか?
小林:本当にアジア選手権のときは前の日から自分が金メダルとっているイメージしか浮かばなかったので、そういうのが本当に大事だなって思いました。

国内の女王から、世界の女王へ。
魔法のホウキで目指すのは、2020年、東京―

小林:東京オリンピックではケイリン種目でメダルをとります
潮田:今までいらっしゃらないですもんね?
小林:今までいないです
潮田:今の言葉、火ついたんじゃないですか?
小林:そうですね。
潮田:「今までいない」って言葉に弱いでしょ
小林:そういう言葉、結構力になります