金色のアスリート

放送内容

2018.12.15 OA

素根 輝(柔道)

潮田:「今回、私は、東京オリンピックで金メダルを目指す素根輝選手の強さの秘密を迫ります。」

柔道女子78キロ超級、南筑高校3年の素根輝(そねあきら)選手。
去年、高校団体日本一を決める金鷲旗(きんしゅうき)決勝、引き分けでもチームの負けが決まる絶対絶命の場面で圧巻の強さを見せつけます!

史上初、決勝での5人抜きを達成!
南筑高校を初優勝に導きました。
スーパー女子高校生が見据えるのは、2年後の東京オリンピック。

そこに立ちはだかるのは世界女王の壁…。

素根:「朝比奈選手を倒さないと東京五輪も自分のなかでない」

東京で金メダルを誓う高校生の素顔と女王打倒の秘策に迫りました。

素根:「2020年東京オリンピックに必ず出て金メダルを取ることです」

素根輝選手は、久留米市立南筑高校に通う高校3年生。
普段は、どんな女の子なのでしょうか?

同級生①「癒やし系です。おっとりしていて、癒やし系です。」
同級生②「女の子らしくてかわいいです」

ところが、ひとたび道場に入ると…

1人のアスリートの顔へ。
大柄な男子を相手に次々と技を決めます。

潮田:今、どのくらい練習されているんですか?
素根:そうですね。午後の練習は、2時間半~3時間ぐらいでまた家に帰って自分で2時間~2時間半。
潮田:夜ですか?
素根:これ終わって帰っておうちでも練習して練習量という部分では誰にも負けない自信はありますね。

学校がない日の練習は、7時間を超えることもあるといいます。

潮田:素根選手の座右の銘は
素根:3倍努力という
潮田:ぴったりですね

『人の3倍努力する』
誰にも負けない練習量がどんな強敵にも一歩も引かない強い気持ちを生み出しています。

練習漬けの毎日の中で癒やしとなっているのが…

素根:ミー太郎。犬もネコもいるんですけど、2匹ともかわいくて癒やされていますね。ハハハ
潮田:本当に癒やされてますね。
素根:癒やされてます。

久留米市出身の素根輝選手が柔道と出会ったのは、小学1年生のとき。
柔道経験者の父親の影響でした。
『輝(あきら)』の名は、父親が世界で輝いて欲しいと名づけたといいます。
その思いに応えるように、小学生、中学生の全国大会で優勝。
『無敵の女子』と呼ばれていました。

彼女の才能を誰よりも早く気づいていた人がいます。

それは…金メダリスト古賀稔彦(こが・としひこ)さん。

1992年のバルセロナオリンピックで王者となり”平成の三四郎”の異名をとった古賀さん。
小学生時代の素根選手を見て古賀さんは、その才能に驚いたといいます。

古賀:「重量級の女子にしてはまれに見る逸材。これからも出てこないと…センスですよねセンス。ここぞという瞬間の技は絶対に見逃さない」

一本背負いで世界を制した古賀さんが絶賛する、素根選手、最大の長所とは…。

古賀:「担ぎ技ですよね。体落とし背負い落としという技が彼女にとっては一番の武器。」

古賀さんも認める担ぎ技。
足技の攻防で試合が決まることの多い重量級で、なぜ素根選手は豪快な担ぎ技を決めることができるのでしょうか?
その秘密は、163センチという女子最重量級では小柄な身体にあります。

素根:「(身長が)20~30センチ違うので相手に上をもたれて引きつけられると体勢は不利なのでこの体勢にならないように釣り手をしっかりここにあげて…絶対下げられないように前に出て圧力をかける」
潮田:「なるほど」
素根:「こうあげて…こういう」
潮田:「ハハハ」

上背のある選手は、首のうしろをつかんで引きつけ、動きを封じてきます。
そこで左の釣り手を上に突き上げて距離をとり自分に有利な体勢を作ります。
そして、小柄な体で懐に飛び込んで低い重心から担ぎ技を繰り出すのです。
この練習を毎日300回以上黙々と繰り返し、長所に磨きをかける素根選手。

その前には、乗り越えなければならない大きな壁が立ちはだかっています。
素根:「ライバルと言ったら、一番倒さないといけない相手は朝比奈選手かなと思います」

世界ランキング1位、女王・朝比奈沙羅!
176センチの体を生かした豪快な柔道が持ち味です。
その女王が…宣戦布告!!

朝比奈:「東京(オリンピック)はまだ早いよ。若い芽は摘んでいく」

柔道女子78キロ超級で東京オリンピックを目指す素根輝選手。
163センチと小柄な体格を生かした担ぎ技が最大の武器です。
しかし、代表の座を射止めるためには、乗り越えなければならない大きな壁があります。

素根:「朝比奈選手を倒さないと東京オリンピックもないと思うので」

世界女王、朝比奈沙羅選手。
素根選手より13センチ大きい身長176センチと恵まれた体を生かした豪快な柔道が持ち味です。
幾度となく苦汁をなめさせられてきました。
今年4月の皇后杯。
5か月後に開かれる世界選手権の代表最終選考会を兼ねた大会です。

大会前日に行われた会見、

Q:迎え撃つ立場になった今の心境は?
朝比奈:「素根選手は素質もあるし、いつか芽が出て、華が咲く選手と思うけど東京はまだ早いよ。出た芽は摘んでいく覚悟があるので」

異例の女王からの宣戦布告。
絶対に負けられないふたりは、準決勝で相まみえます。

素根:「朝比奈選手を投げたいという気持ちがあります」
審判「はじめ」

組み合う素根選手、左の釣り手は練習通りに高い位置。
いつでも技をかけられる自分の体勢をつくります。

しかし、お互いの力は拮抗。
技がかけられず共に指導2つ。

追い込まれた素根選手は、得意の担ぎ技で攻めに出ます。

毎日、毎日、何百回と繰り返してきた担ぎ技。
『人の3倍努力』をやってきたという自信が彼女を支えます。

素根選手の攻めに防戦一方となった朝比奈選手に3つめの指導。
投げてのポイントこそ取れませんでしたが、見事、女王から2度目の勝利。
そして、大会史上初の初出場初優勝を飾りました。
しかし、ぐっと引き寄せたかに思えた世界選手権代表の座は…。

女子監督「金メダルを取る可能性が高い選手として選考させて頂きました。78キロ超級朝比奈沙羅」

素根選手は、国際大会での実績不足で選ばれませんでした。
代表の座を勝ち取るためには、朝比奈選手に勝ち続けることでその強さを証明し続けるしかありません。
夢の舞台への挑戦を続ける素根選手に潮田さんがアドバイス。

潮田:「非現実、非日常のいかに自分が普段通りの自分を保てるかというのが大事。地にしっかり足をつけて本来の自分を保つというのが一番いい」

その後に行われた先月のグランドスラム、磨き上げた投げ技で朝比奈選手から初めて勝利をつかみとりました。
来年3月で高校を卒業する素根選手、あの古賀稔彦さんの指導の元、担ぎ技に更なる磨きをかけることを決断しました。

素根:「やっぱり東京オリンピックは自分が出て金メダルをとるのが目標なのでそこに向けて1つ1つ試合を大事に頑張っていきたい」

きらめきはじめた18歳の新星。
"世界の舞台で輝け"と名づけられたその名のごとく、2020年、東京で最高の輝きを放ちます!